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「下町ロケット ヤタガラス」に農学研究院 野口教授が協力しています。

人気小説シリーズの4作目「下町ロケット ヤタガラス」(原作:池井戸潤、小学館)に農学研究院 野口 伸 教授が協力しています。現在、毎週日曜午後9時よりTBS系列全国ネットにて放送中のドラマでも無人トラクターの監修をしています。野口教授にお話を伺いました。

「作者の池井戸潤さんに最初にお会いしたのは2015年10月。エッセイの取材で私の研究室を訪れたときでした。厳しい状況におかれている“日本の農業”にロボット技術が有効だと関心を持っていただき、とても嬉しかったです。その時はまさか小説になるとは思っていませんでしたが・・・。下町ロケットは、農学関係者だけではなく、多くの方々に私の研究を知っていただくきっかけとなりました。」


(農学研究院 野口 伸 教授。忙しい合間を縫ってインタビューに答えてくれました。)

農業ロボット開発の道のり
無人農業ロボット研究の世界的な第一人者である野口教授は、所属しているビークルロボティクス研究室でトラクター、田植機、コンバインなど農機をロボット化する研究に加え、空から農地を観測するドローン、水田で薬剤散布するロボットボートなどの開発を行っています。

野口教授が農業ロボット第一号を開発したのは1991年。当時は大学院生とともに、廃材から集めた部品で製作し、位置計測システムも自作でした。農地を走るだけのシンプルなもので、100メートル走行すると50センチほどの誤差が出たといいます。その後研究をかさね、現在では単純な作業もできるようになり、日本版GPSである準天頂衛星「みちびき」の活用によって、数キロ走行しても誤差は5センチ以下になりました。

研究室から歩いてすぐのところに、約35haの広さをもつ「第一農場」があり、日々実地でプログラム動作を確認できるところも、北海道大学大学院 農学研究院の強みです。


【動画】北海道大学第一農場を無人で走るトラクター <動画提供:北海道大学農学院ビークルロボティクス研究室>


(田んぼを無人で走るトラクター <写真提供:野口教授>)

2018年は「農業ロボット元年」
ついに今年(2018年)、無人運転トラクターが各農機メーカーから続々商品化されました。パソコンで作業内容やルートを設定し、手元のタブレット型端末で操作します。位置や姿勢を測定するセンサに加え、安全のため障害物を検知するセンサも搭載されており、運転中、人や物が近づくとアラートが鳴り停止します。小説やドラマの世界が、すでに現実のものとなっているのです。


(トラクターを設定された位置に移動させるため運転席に乗り込む農学研究院の学生達)

「今年は“農業ロボット元年”といわれています。無人運転トラクターが販売され、“準天頂衛星みちびき”の本格運用がスタートしました。国も農林水産省を中心に“スマート農業”に力を入れていて多くの事業を展開しています。下町ロケットが出たタイミングとリアルな世界が一致している点でも、多くの行政、民間、農家の方々に関心を寄せていただいています。」

棚田にも使える農業ロボットの開発が夢
今後については
「より安全性を高め、コストを下げ、そしてもっともっと小型化していきたいですね。将来的には例えば棚田のような本当に小さな畑にも使える農業ロボットを開発するのが夢です。先端技術と昔ながらの文化が同時に見られるのは、日本らしい風景といえるかもしれませんね。ロボット掃除機レベルのロボット農機を目指しています。」と意欲をみせる野口教授。


(研究室レベルでは自ら倉庫を出て畑まで行き、作業して戻ってくる自動運転トラクターの開発も進んでいます。)

使う人のことを考えた“ものづくり”が重要
最後にメッセージをいただきました。
「下町ロケットに描かれているなかで、特に重要だと感じていることが3つあります。一つ目は“人としてどう生きるべきか”。他人に寛容であり、一生懸命目標に向かって突き進む。そういったフィロソフィーは私自身も非常に共感していて、若い人達に伝えていきたいと考えています。二つ目は“技術者の視点”。私も実学をやっている研究者として、やはり使う人のことを考えてものづくりを進めていくことが重要だと思っています。三つ目は社会課題を解決する上で “技術”がとても大切だということ。日本の農業のおかれている状況はとても厳しいものですが、その課題を解決していかなければと強く思っています。そういったことを取り上げている“下町ロケット”を皆さんもぜひ読んでみてください。」

野口教授はこれからも高齢化や担い手不足が深刻化する「日本の農業」の課題解決に挑み、世界の食料不足改善に貢献していきます。


野口 伸(のぐち のぼる)
北海道大学大学院 農学研究院 副研究院長・教授
内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「次世代農林水産業創造技術」プログラムディレクター

北海道大学大学院 農学研究院 ビークルロボティクス研究室
http://vebots.bpe.agr.hokudai.ac.jp/

(総務企画部 広報課 研究広報担当、文:川本真奈美 写真:菊池優)

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