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ノイズの伴う力学系で生じる異常拡散のメカニズムを解明~流体・気象現象,経済・社会の輸送現象,生物集団の運動などで見出されることに期待~(電子科学研究所 准教授 佐藤 讓)

2019年5月14日

ポイント

●ノイズの伴う力学系における異常拡散現象を発見。
●非定常な確率カオスの異常統計性を連続時間酔歩理論で解明。
●ノイズの伴う力学系で生じる確率間欠性の生成メカニズムを単純な数学的モデルを用いて解明。

概要

北海道大学電子科学研究所(所長 中垣俊之教授)附属社会創造数学研究センターの佐藤 讓准教授とロンドン大学クイーンメアリー校のRainer Klages博士の研究グループは,ノイズの伴う開放力学系における非定常な確率カオスと異常拡散を発見し,ランダム力学系理論,連続時間酔歩理論によりその生成メカニズムと普遍性を明らかにしました。

両端の開いたランダム性の全くない開放ビリヤード系のような決定論的開放力学系での拡散現象は「決定論拡散」と呼ばれ,とくに「間欠性」カオスをもつ開放力学系では異常拡散が生じることが知られていました。しかし,この開放ビリヤード系に外部から撹乱を与えた時,内部の拡散運動がどのように変化するかについてはこれまで研究されていませんでした。

研究グループは,ノイズのある環境下での運動を記述する理論であるランダム力学系理論を用いて,決定論拡散を示す開放力学系にノイズを加えると,これまでに知られていなかった異常劣拡散現象が生じることを発見し,その確率間欠性の普遍的な性質を解明しました。

本研究成果により,ランダム力学系の間欠性によって生成される異常拡散という普遍的な現象が,流体・気象現象,経済・社会の輸送現象,生物集団の運動などで見出されていくことが期待されます。

なお,本研究成果は2019年4月29日(月)公開のPhysical Review Letters誌に掲載されました。

また,本研究は日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究(C),「ランダム力学系理論に基づく確率カオスの現象論とその応用」などの支援を受けて実施されました。

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多数の粒子の軌道を表した図。拡散運動に外部から撹乱を加えると,拡散係数Dが0の異常劣拡散運動が生じて大多数の粒子が初期状態付近に長時間滞留する(横軸は時間,縦軸は粒子の位置を示す)。