2019年6月28日
ポイント
●地球型惑星の材料となった微粒子が作られる初期状態の解明を目的とした実験を実施。
●天体より放出されるガスから,炭素質の宇宙ダストの生成過程の理解に必要なデータ取得に成功。
●宇宙における炭素質物質の循環を解明する糸口になると期待。
概要
北海道大学低温科学研究所の木村勇気准教授らのグループは,スウェーデン宇宙公社(SSC)の観測ロケットMASER 14を用いて,「炭素質宇宙ダストの核生成過程の解明」を目的とした微小重力実験を実施しました。この実験は,宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究所の小規模計画として,ドイツ航空宇宙センター(DLR)との国際協力のもとに実施されました。
宇宙ダスト(星のかけら)と呼ばれる微粒子は,天体より放出されるガスから生成されます。その中でも炭素を主成分とした微粒子は,ナノメートルのサイズから惑星に至る固体物質の変遷及び生命へとつながる有機物の生成において,非常に大きな役割を担っています。そのため,炭素質宇宙ダストの生成過程の理解は,宇宙の物質循環を知る上での根幹となります。そこで本実験では,ロケットの弾道飛行による微小重力環境を利用して,高温のガスから炭素質宇宙ダストを模擬した微粒子が生成・成長する過程を直接測定することで,その生成条件と赤外線に対する特性の理解を目指しました。
今回の実験で得られたデータを分析することにより,炭素質の宇宙ダストの生成過程が明らかになり,宇宙史の中での物質進化の解明が飛躍的に進むことが期待されます。
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