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世界初!中枢神経系病気モデルマウスの宇宙飼育ミッションが終了~炎症性疾患に重力が与える影響の解明に期待~(遺伝子病制御研究所 教授 村上正晃)

2019年7月8日

ポイント

●世界で初めて中枢神経系の炎症性疾患モデルマウスを用いた宇宙実験を実施。
●帰還したマウスを用いて,中枢神経系の炎症性疾患に重力が与える影響を今後検証予定。
●炎症性疾患へ与える重力の重要性の証明が,様々な病気予防や治療法の開発へ繋がることを期待。

概要

北海道大学遺伝子病制御研究所の村上正晃教授らの研究グループは,これまでに多発性硬化症の動物モデル(実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE))で,ふくらはぎの筋肉にかかる重力の刺激で神経が活性化し,結果的に(よう)(ずい)の血管に免疫細胞が集まり炎症反応が起こる「重力ゲートウェイ反射」と,その引き金となる「炎症回路」を同定してきました。しかしこれまでに,重力が炎症状態に与える影響について調べた研究はほとんどありませんでした。

今回の研究では,宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同研究にて,炎症性疾患モデルマウスを世界で初めてISS・「きぼう」日本実験棟において微小重力下での飼育を行いました(5月4日から6月4日までの32日間)。6月5日に米国内にてアメリカ航空宇宙局(NASA)からJAXAに対し,帰還したマウスの飼育装置が引き渡され,全てのマウスの生存を確認しました。今回飼育した炎症性疾患モデルマウスには,EAEのほかに網膜炎症モデルも含まれており,今後,これら2つの炎症病態に重力がどのように作用するのかを検証します。約1ヶ月間の微小重力によって,第5腰椎の背側血管ゲートがどのように変化するのか?網膜炎症もEAEと同様のメカニズムで起こるのか?について,詳細に解析する予定です。

今回の宇宙実験は,重力が炎症性病態にどのような影響を及ぼすのかを検証する世界で初めての研究となります。炎症応答に対する重力の重要性が証明されれば,様々な病気(例えば、パーキンソン病など中枢神経系の疾患)に関連する炎症をコントロールする方法(神経刺激により炎症を制御する方法など)を開発できるようになると考えられます。

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