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ナノサイズの光で金属-半導体ハイブリッド構造を作製~極微小発光素子,バイオセンサー,光検出素子への応用に期待~(電子科学研究所 教授 笹木敬司)

2020年1月23日
北海道大学
北海学園大学

ポイント

●金ナノアンテナで光をナノサイズまで絞り込み,ナノサイズの熱源として利用する技術を開発。
●金ナノアンテナを熱源として利用した金属-半導体ハイブリッドナノ構造作製技術を開発。
●極微小発光素子,バイオセンサー,光検出素子への応用に期待。

概要

北海道大学電子科学研究所の笹木敬司教授,パン クリストフ助教及び北海学園大学工学部の藤原英樹教授の研究グループは,ワンステップの光照射でナノサイズの金属構造上に選択的に半導体ナノ構造を合成する新技術を開発しました。

ナノサイズの金属構造には光を閉じ込める効果(光ナノアンテナ効果)があり,金属ナノ構造周辺には強い電場が誘起されます。このアンテナ効果は,発光や吸収,散乱などの様々な光-物質間の相互作用を増強する有用なツールとして利用されています。特に半導体の分野では,金属と半導体のハイブリッド化により,発光や光電変換,光触媒反応などの高効率化に向けた研究が報告されています。しかし,この効果を発揮させるには,ナノサイズの材料を金属ナノ構造の適切な位置に配置する必要があります。

本研究では,光ナノアンテナ効果を利用し,光をナノサイズの領域に集光すると同時に,光吸収に伴う金属ナノ構造の発熱をナノサイズの熱源として利用した新しい半導体合成法(プラズモン支援水熱合成)を開発しました。本手法では,金属ナノ構造を適切にデザインすることにより,光の回折限界を超えた領域内で,金属ナノ構造上に局所的かつ選択的に半導体ナノ構造を合成できます。発光や光電変換,光触媒反応を起こす半導体を金属ナノ構造内に適切に配置する本手法により,ナノサイズの発光素子,エレクトロニクス素子,量子効果を用いた光演算素子,超高感度に光を検出する装置などへの応用が期待されます。

本研究は,科学研究費助成事業新学術領域研究「光圧ナノ物質操作」,「特異構造の結晶科学」の助成を受け行われました。

また,本研究成果は,2019年12月23日(月)公開の米国化学会専門誌Nano Letters誌にオンライン掲載されました。

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(左図)金ナノアンテナ構造の数値解析結果(左半分:温度分布,右半分:電場強度分布)。
(右図)レーザー照射による水熱合成を行った後の金ナノアンテナ構造の電子顕微鏡画像。