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iPS細胞を用いた新たな免疫制御法を提案~iPS細胞を活用した移植医療への貢献に期待~(遺伝子病制御研究所 教授 清野研一郎)

2020年1月15日
北海道大学
日本医療研究開発機構

ポイント

●マウスiPS細胞に遺伝子導入を行い,胸腺上皮様細胞の分化誘導を効率化することに成功。
●マウスiPS細胞から作製した胸腺上皮様細胞をマウスに移植し,皮膚移植片の生着延長に成功。
●iPS細胞を用いた移植免疫制御法の今後の進展に期待。

概要

北海道大学遺伝子病制御研究所の清野研一郎教授らの研究グループは,マウスiPS細胞から作製した胸腺上皮様細胞を用いて,免疫系が正常なマウスに移植することで,皮膚移植片の生着期間(移植片が拒絶されずに体内に留まる期間)を延長し,移植免疫応答を制御することに初めて成功しました。

ES細胞やiPS細胞等の多能性幹細胞は,さまざまな種類の細胞に分化することができる細胞であり,再生医療への応用が期待されています。他人の臓器や細胞を移植すると,免疫系の働きにより拒絶反応が起こり体内から排除されてしまうため,免疫系の制御が非常に重要です。同じことが多能性幹細胞から作り出した細胞や組織を移植する場合にも当てはまります。本研究グループは,多能性幹細胞から作り出した細胞や組織を移植医療に用いる等,これからの再生医療時代に必要とされる免疫制御法を新たに考案し,その有効性を検証しました。同研究グループは,マウスiPS細胞から「免疫系を制御する細胞」を作り,他者間移植における拒絶反応を抑制する方法を考案しました。その「免疫系を制御する細胞」として胸腺上皮細胞に着目しました。胸腺上皮細胞とは,拒絶反応の主体となるT細胞が作られる「胸腺」という臓器に存在する細胞であり,自分の免疫細胞であるT細胞が自分の体を攻撃しない仕組み(免疫寛容)に大きく関わっています。しかし,過去の研究からiPS細胞から胸腺上皮細胞を作り出すことは難しく,作製の効率が低いことが問題になっていました。

清野教授らの研究グループは,体の中で胸腺が作られるときに重要な遺伝子であるFoxn1に着目し,この遺伝子をマウスiPS細胞に導入することで,従来よりも効率よくマウスiPS細胞から胸腺上皮様の細胞を作ることができることを発見しました。また,他者の関係にあたるマウスの皮膚移植に際してこの胸腺上皮様細胞を事前に移植しておくことで,マウスiPS細胞と同じドナーに由来する皮膚の生着期間を延長することに成功しました。

なお,本研究成果は,2020年1月14日(火)公開のScientific Reports誌にオンライン掲載されました。

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