2020年3月6日
北海道大学
科学技術振興機構
国際協力機構
ポイント
●カブウェ市の住民の血中鉛濃度は,鉛鉱山に近く,風下に住む人々ほど高いことが明らかに。
●乳幼児・児童の5人に1人は,早急な治療が必要なほど血中鉛濃度が高いことが判明。
●調査結果はザンビア政府と共有され,鉛中毒を和らげるための治療計画策定に役立てられる予定。
概要
北海道大学大学院獣医学研究院の石塚真由美教授,中山翔太助教,中田北斗学術研究員とザンビア大学獣医学部のジョン・ヤベ講師らの研究グループは,ザンビア共和国カブウェ市の住民(1,190名)の各家庭で親子の血液を採取し,血液中の鉛濃度をそれぞれ測定しました。測定結果から,カサンダ(Kasanda)という鉛鉱山の近くに位置する村落では,住民の血中鉛濃度が平均45.7µg/dLと他の村落よりも高いことがわかりました。他方で,鉱山から30kmほど離れたハムドゥドゥ(Hamududu)という村落では,血中鉛濃度が平均3.3µg/dLと低い値でした。様々な地域を調べた結果から,鉛鉱山の近い村落に住む人々ほど,体内により多くの鉛を含んでいることがわかりました。また,鉛鉱山の風下に住む人々は,風上に住む人々に比べて血中鉛濃度が高くなっており,鉛鉱山の風上・風下のどちらかに住むかによっても血中鉛濃度が変化することがわかりました。
さらに,子どもと大人の血中鉛濃度を比べると,子どもの方がより高い値を示していました。特に,乳幼児・児童(計562人)の5人に1人の血中鉛濃度は45.0µg/dL以上となっており,早急な治療が必要なほど血中鉛濃度が高くなっていることが判明しました。
今後,これらの調査結果はザンビア政府と共有され,鉛中毒を和らげるための治療計画を作成する際の重要な情報として役立てられる予定です。
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