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インジウムヒドリドの優れた脱水素触媒作用を発見~高耐久性・高選択性を示す貴金属フリー触媒の開発に期待~(触媒科学研究所 教授 清水研一)

2020年3月6日

ポイント

●固体物質の表面に生成する新規なインジウムヒドリドの構造と脱水素触媒作用を解明。
●インジウムを導入したゼオライト触媒は高選択性・耐久性を示す。
●典型金属・非貴金属元素を基盤とする貴金属フリー脱水素用触媒の開発に期待。

概要

北海道大学触媒科学研究所の前野 禅特任講師,刘 冲博士研究員,鳥屋尾隆助教,清水研一教授及び同大学大学院総合化学院修士課程の安村駿作氏,呉 暁鵬氏らの研究グループは,ゼオライト触媒表面に生成する新規活性種を発見し,その構造と優れた脱水素触媒作用の解明に成功しました。

研究グループは,典型金属元素の一つであるインジウム(In)をゼオライトに導入し,水素雰囲気下にて500℃以上の高温で処理すると,Inヒドリドが生成することを実験と理論の融合により発見しました。また,Inヒドリドが高選択的なエタン脱水素反応の触媒活性種として作用することで,In導入ゼオライト触媒は90時間以上触媒活性の低下なく機能することがわかりました。本研究は,非貴金属元素を用いた脱水素用触媒の設計指針を提示するものであり,貴金属フリー触媒の開発が今後期待されます。

なお,本研究成果は,2020年2月18日(火)公開のJournal of the American Chemical Society誌にオンライン掲載されました。

また,本研究は科学技術振興機構CREST「実験と理論・計算・データ科学を融合した材料開発の革新」研究領域のプロジェクト「触媒インフォマティクスの創成のための実験・理論・データ科学研究」(JST-CREST JPMJCR17J3)及び「多様な天然炭素資源の活用に資する革新的触媒と創出技術」研究領域のプロジェクト「反応場分離を利用したメタン資源化触媒の創成」(JST-CREST JPMJCR15P4)の支援を受けて行われました。

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発見したゼオライト内Inヒドリドとその脱水素触媒作用