2020年4月27日
ポイント
●血液中のリチウムイオン濃度の定量を可能とする安価な検査デバイスの開発に成功。
●材料は紙のみで特別な測定装置を必要としない。
●双極性障害患者による自宅でのセルフチェックへの応用に期待。
概要
北海道大学大学院総合化学院博士後期課程・日本学術振興会特別研究員の小松雄士氏,同工学研究院の渡慶次学教授らの研究グループは,血液中のリチウムイオン濃度を測定可能な紙を基材とした安価な検査デバイスの開発に成功しました。
双極性障害の治療薬である炭酸リチウム錠剤は,血液中でリチウムイオンとして存在しています。この治療では,治療濃度範囲が狭く,中毒濃度域と近接していることから定期的に検査するよう医薬品医療機器総合機構が注意喚起しています。現在の検査方法では,採血量の多さ,特別な操作や大型で高価な測定装置などが必要であるため,特定の検査機関でのみ検査が行われています。
本研究では,極微量(1滴以下)の血液に含まれるリチウムイオン濃度に応じて色の濃さが変化する紙を基材とした検査デバイスの開発に成功しました。測定は,デジタルカメラで取得した画像をパソコン上で色強度として算出するため,従来必要であった特別な測定装置を必要としません。今後,スマートフォン用の画像解析アプリを開発することで,医療従事者だけでなく一般の方々でも双極性障害の状況をセルフチェックできるようになることが期待されます。
なお,本研究成果は2020年4月23日(木)公開のACS Sensors誌にオンライン公開されました。
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