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下水中の新型コロナウイルスに関する世界初の総説論文を発表 ~COVID-19の流行状況を把握する上での下水疫学調査の有用性を提唱~ (工学研究院 助教 北島正章)

2020年5月14日
北海道大学
山梨大学

ポイント

●下水中における新型コロナウイルスの存在実態に関連する知見を体系的に整理。
●COVID-19 の流行状況を把握する上で下水疫学調査データが重要な情報となる可能性を提示。
●感染拡大防止と社会経済活動再開に向けた適切な政策決定のための判断材料としての活用に期待。

概要

北海道大学大学院工学研究院の北島正章助教と山梨大学大学院総合研究部の原本英司教授らの国際共同研究グループは,新型コロナウイルスの下水中における存在実態に関連して現在までに得られている知見を体系的に整理し,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行状況を把握する上での下水疫学調査の有用性を提唱する総説論文を世界で初めて発表しました。

新型コロナウイルスによって引き起こされる COVID-19 の世界的感染流行は,国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態となっています。新型コロナウイルスの主な伝播経路はヒト-ヒト間での飛沫感染や接触感染ですが,最新の研究報告によりウイルス RNA が下水中に存在し得ることが示されていることから,下水をウイルス感染疫学の情報源として利用できる可能性があります。

研究グループは,下水疫学調査により COVID-19 の感染流行状況を把握できる可能性,下水中の新型コロナウイルスの検出方法及び新型コロナウイルスの健康リスク評価に関連する情報について現時点で得られている知見を精査しました。新型コロナウイルスの RNA が感染者の糞便中のみならず下水中からも検出されるという調査事例が急速に蓄積されてきていますが,下水試料から新型コロナウイルスを効率よく検出するための手法が確立されていないことが下水疫学調査を実施する上での大きな課題の一つとなっています。また,新型コロナウイルスの曝露経路及び感染リスクを評価するためのデータも限られていますが,関連する呼吸器系ウイルスに関する既往の研究データを活用することで,リスク評価・モデリングが可能となり,COVID-19 の感染制御に貢献できる可能性があります。

現時点では,下水中における新型コロナウイルスの存在状況,生残性及び水処理での除去効果に関する知見が不足しているため,新型コロナウイルスの伝播への下水の関与については明らかになっていません。下水疫学調査のための手法の確立及び下水中における新型コロナウイルスの存在実態解明とそのデータの活用に向けた更なる研究が早急に求められます。

なお,本研究成果は,2020年4月30日(木)公開の Science of the Total Environment 誌に掲載(オンライン公開・オープンアクセス)されました。

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COVID-19 の流行状況を把握する上での下水疫学調査の有用性と研究ニーズ