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本学元総長 中村睦男先生のご逝去を悼む

 中村睦男元総長の訃報に接し,北海道大学を代表して謹んで哀悼の意を表します。

 中村睦男先生は,平成13年5月に第16代総長に就任され,平成19年4月までの6年間,本学の管理運営に当たるとともに,本学における教育研究の充実と発展に寄与されました。特に,平成16年4月の国立大学法人化の際には,役員会,教育研究評議会,経営協議会等を新たに設置するなど,管理運営組織の大きな改革を実行するとともに,先生の強力なリーダーシップの下で法人化後の大学運営を推し進められました。教育研究組織の改革においては,学生所属組織と教員所属組織を分離することによって,大学院教育の充実と先端的・学際的な研究の活性化を図るとともに,伝統的な学問分野での研究の蓄積を発展的に継承する学院・研究院構想を推進されました。

 研究者としては,昭和48年に出版された「社会権法理の形成」において,我が国の社会権論に対して鋭い問題提起をされました。また,フランス憲法院,フランスにおける人権保障についての研究が高く評価され,フランス政府からフランス教育功労賞オフィシエ勲章を授与されています。

 先生は社会貢献にも熱心に取り組まれ,北海道知事が設置したウタリ問題懇話会・新法問題分科会長,内閣官房長官の諮問機関として設置された「ウタリ対策のあり方に関する有識者懇談会」の座長代理などを歴任されました。アイヌ施策への貢献は社会的に高く評価されるところとなり,平成27年には北海道功労賞を受賞されています。

 以上のように,先生が本学及び我が国の高等教育の発展及び地域社会の発展に果たしたご功績は誠に顕著であり,これに対し平成28年11月に瑞宝重光章を受章されました。

 先生を失ったことは,誠に残念であり哀惜の念に堪えません。ここに改めて先生の本学へのご貢献に深く感謝いたします。

令和2年5月11日
北海道大学総長職務代理 笠原 正典