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抗癌剤による血管の薬剤耐性獲得メカニズムを解明~癌の薬剤耐性を克服する新たな治療法開発に期待~(歯学研究院 教授 樋田京子)

2020年6月15日

ポイント

●抗癌剤治療による炎症が腫瘍内の血管に異常をもたらすことを発見。
●新たな薬剤耐性のメカニズムを解明。
●抗癌剤耐性の克服・回避を可能とする治療法への応用に期待。

概要

北海道大学病院の菊地 央医員,樋田泰浩准教授,北海道大学大学院歯学研究院の樋田京子教授,間石奈湖助教,同大学院医学研究院の篠原信雄教授らの研究グループは,抗癌剤による腫瘍内の炎症性変化が血管に異常性をもたらし,薬剤耐性の原因となることを初めて明らかにしました。

薬剤耐性は癌患者の予後を不良にする大きな要因となっており,その克服は癌治療上,重要な課題の一つです。一般的に薬剤耐性は癌細胞に生じるものとされてきましたが,研究グループは抗癌剤治療により,癌細胞のIL-8産生などの炎症性変化が腫瘍血管内皮細胞の薬剤排出ポンプABCB1の発現量を増加させることを見出しました。これは全く新しい薬剤耐性のメカニズムを解明した成果です。マウス腫瘍モデルにおいてABCB1阻害剤の使用により抗癌剤の効果が増強されたことから,抗癌剤治療時のIL-8阻害や腫瘍血管内皮細胞のABCB1阻害は,耐性を克服する新たな治療戦略となることが期待されます。

なお,本研究成果は,2020年6月15日(月)公開のCancer Research誌にオンライン掲載されました。

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抗癌剤による腫瘍血管の薬剤耐性獲得メカニズム