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北米の下水試料から初めて新型コロナウイルスRNAを検出~感染拡大が深刻な米国におけるCOVID-19流行状況把握への下水疫学調査の活用に期待~(工学研究院 助教 北島正章)

2020年7月29日

ポイント

●COVID-19流行地域である米国ルイジアナ州の下水から新型コロナウイルスRNAを初検出。
●感染者数増加後の時期に採取した流入下水試料から新型コロナウイルスRNAを検出。
●日米をはじめ国際的な連携による世界規模でのCOVID-19の下水疫学調査の推進に期待。

概要

北海道大学大学院工学研究院環境工学部門の北島正章助教と米国テュレーン大学のSamendra P. Sherchan助教らの国際共同研究グループは,米国ルイジアナ州の下水試料から新型コロナウイルスRNAを検出することに成功しました。本研究成果は,米国を含む北米大陸で初めて下水試料から新型コロナウイルスRNAを検出した事例として論文発表されました。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の病因である新型コロナウイルスは,約半数以上の感染者の糞便中に排出されるため,下水中の新型コロナウイルスを調査することで下水処理場の処理区域内におけるCOVID-19の流行状況を把握できる可能性があります。北島助教らの研究グループは,COVID-19の流行状況を把握する上での下水疫学調査の重要性を世界に先駆けて提唱し,国内外の下水等の環境試料中における新型コロナウイルスの存在実態調査や,その手法の開発等の研究に取り組んでいます(本稿p.3「関連する研究成果」を参照)。

今回,その取り組みの一つとして,米国ルイジアナ州の2ヶ所の下水処理場において20201月から4月にかけて下水試料(流入水,二次処理水,塩素消毒後の放流水)を採取し,新型コロナウイルスの存在実態調査を実施しました。その結果,調査対象地域における感染者数が増加した後の流入水から新型コロナウイルスRNAが検出されました。

なお,本研究成果は,2020630日(火)公開のScience of the Total Environment誌(オンライン版)に査読付き研究論文として掲載されました。下水試料からの新型コロナウイルスRNAの検出をめぐっては,北島助教と山梨大学の原本英司教授の研究グループが国内初の事例を先行して論文発表しており(p.3「関連する研究成果」②),論文としての発表は日本からの報告の方が米国よりも早かったことになります。

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本研究成果の概要図