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大雪山の雪渓の下に太い根を持つ植物が生えていることを発見~多雪環境における短い生育期間を生き抜くための適応~(北方生物圏フィールド科学センター 准教授 小林 真)

2020年8月20日

ポイント

●大雪山の花畑では,雪解け時期が異なる場所で,高山植物の根の形態が大きく変化することを発見。
●雪解けが遅い場所では,地下部の割合が大きくなり,特に粗根と呼ばれる太い根が発達。
●気候変動の影響を特に受けやすい山岳地で,生育に影響を受けやすい高山植物の特定に期待。

概要

北海道大学北方生物圏フィールド科学センターの小林 真准教授と同大学大学院地球環境科学研究院の工藤 岳准教授の研究グループは,大雪山などに広く生育する高山植物の一種であるミヤマキンバイが,雪解けが遅く生育期間が短い場所で地下部を発達させること,特に粗根と呼ばれる太い根の割合を増すことで多雪環境に適応していることを明らかにしました。約2ヶ月の短い生育期間中に素早く成長して開花と結実を終えるため,前年までに獲得した炭水化物を太い根に大量に貯蔵していると考えられます。

本研究の成果は,雪田と風衝地で構成される大雪山の高山帯の美しい花畑が,将来どのように変化していくのかを予想する上で重要な知見となることが期待されます。

なお,本研究成果は,2020810日(月)公開のArctic, Antarctic and Alpine Research誌に掲載されました。

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研究対象とした大雪山の花畑に生育するミヤマキンバイ (小林 真撮影)