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新型コロナウイルスの感染に関わる7つの遺伝子に地域・民族間による差が無いことを解明(歯学研究院 教授 飯村忠浩,助教 李 智媛)

2020年9月18日

ポイント

●新型コロナウイルスの感染に関わる7つの遺伝子を地域・民族毎にデータベースから比較。
●地域・民族毎にわずかな遺伝子の多様性はあるものの,分子の機能に差は無いことを解明。
●地域・民族間での感染率や重症患者発生率の違いはヘルスケア格差を含めた環境要因が大きい。

概要

北海道大学大学院歯学研究院薬理学教室(飯村忠浩教授)の李 智媛助教とボストン小児病院のIn-Hee Lee先生,ハーバード大学医学大学院のSek Won Kong教授との共同研究グループは,新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染に関わる7つのタンパク質(ACE2,TMPRSS2,カテプシンB/LTLR3/7/8)をコードする遺伝子に,地域・民族間による差があるかどうかを調べ,ウイルス感染の初期メカニズムに差異が生じているかどうかを比較・検討しました。

3つの大規模ヒト遺伝子多様性データベース及び3つの全ゲノム配列データベースを総合的に探索し,これらの遺伝子の多様性配列(遺伝子バリアント)を調べました。さらに,遺伝子配列及びタンパク質の構造・機能情報から,これら7つのタンパク質に機能的な差異があるかどうかを検討しました。ACE2遺伝子に,特に日本人に圧倒的に多く見られる遺伝子バリアント(頻度0.23%)などがありましたが,いずれもがタンパク質の機能に変化を与えるものでは無く頻度も極めて少ないことから,関連分子の機能に地域・民族間での差は無いことが解明されました。感染初期に関わる遺伝子情報のさらなる蓄積と解析により,治療薬の開発をはじめとした医療対策の発展が期待されます。

本研究成果は,2020825日(火)公開のInfection, Genetics and Evolution誌に掲載されました。

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