新着情報

ホーム > プレスリリース(研究発表) > 大雨を伴う台風は森林倒壊リスクを増大させる~雨台風による森林倒壊のメカニズムに迫る~(農学研究院 准教授 森本淳子)

大雨を伴う台風は森林倒壊リスクを増大させる~雨台風による森林倒壊のメカニズムに迫る~(農学研究院 准教授 森本淳子)

2020年9月15日
北海道大学
総合地球環境学研究所
京都大学
大阪大学

ポイント

●雨台風は強風による森林倒壊と強風と降雨による森林倒壊を引き起こす。
●尾根筋の森林や斜面方位と同じ方位(正面)から強風を受けた森林は倒れやすい。
●降雨は森林の倒壊リスクを高め,倒壊の感度を決めるのは優占樹種。

概要

北海道大学大学院農学研究院の森本淳子准教授,人間文化研究機構総合地球環境学研究所の饗庭 正寛特任助教,京都大学防災研究所の竹見哲也准教授及び大阪大学大学院工学研究科の松井孝典助教らの研究グループは,大雨が台風による森林倒壊リスクを増大させることを突き止めました。

風による被害は比較的小さく雨による被害が大きい雨台風では,これまで知られてきた強風が森林倒壊を引き起こす現象に加え,強風と大雨の相互作用が森林倒壊を引き起こす現象が生じています。この知見は,20168月下旬に北海道に連続して上陸した台風による森林倒壊を対象にした,機械学習法によるモデリングで得られました。また,尾根筋の森林や,斜面方位と同じ方位(正面)から強風を受けた森林は,風当たりが強いため倒壊しやすく,台風期間中の降水量が多い森林ほど倒壊しやすいことが判明しました。降水量に対する感度は優占樹種により異なりました。

今後,気候変動により日本では台風による雨量増加が予想され,森林倒壊による林業被害・インフラ破壊を最小限に抑える適応策が求められています。雨台風による森林倒壊のメカニズム解明につながる現象や森林倒壊のハイリスク条件を解明した本研究成果は,森林管理における具体的な適応策を見出す上での貢献が期待されます。

なお,本研究成果は,2020910日(木)公開のForest Ecology and Management誌に掲載されました。また,本研究は日本学術振興会科学研究費補助金(17H01516),環境再生保全機構環境研究総合推進費(JPMEERF16S11508),文部科学省統合的気候モデル高度化研究プログラム領域テーマD「統合的ハザード予測」(JPMXD0717935498)の支援を受けて行われました。

詳細はこちら

200915_prpic.png
2016年8月に北海道に上陸した台風と,研究対象地における森林倒壊