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半合成多糖セロウロン酸の海洋生分解性を初めて証明~ホタテガイから分解酵素を発見~(水産科学研究院 准教授 井上 晶)

2020年11月13日

ポイント

●セルロースのTEMPO酸化によって得られるセロウロン酸を分解する酵素をホタテガイから発見。
●陸上とは異なり,海洋では軟体動物がセロウロン酸分解を担う一員であることを示唆。
●セロウロン酸の海洋生分解性を初めて証明。

概要

北海道大学大学院水産科学研究院の井上 晶准教授と尾島孝男教授の研究グループは,同大学院水産科学院修士課程の工藤真隆氏,ミュンヘン工科大学のエリザ ヴェルナー氏とともに,再生セルロースなど低結晶性セルロースのTEMPO酸化によって人工的に合成されるセロウロン酸を分解する酵素をホタテガイから発見,単離しました。詳細な機能解析の結果,この酵素はセロウロン酸を最も良く分解することを明らかにしました。

陸上では,セロウロン酸を分解する細菌と真菌が数種類知られていましたが,地球の約70%を占める海洋ではセロウロン酸を分解する能力をもつ生物についての知見は全くありませんでした。本成果により,セロウロン酸の海洋における生分解性を初めて証明するとともに,軟体動物二枚貝のホタテガイがその分解を担う一員であることを明らかにしました。今後,海洋生物によるセロウロン酸分解物の代謝機構の解明とその科学的知見に基づく海洋環境保全や水産生物の増養殖などに関わる新技術の開発が期待されます。

なお,本研究成果は, 2020112日(月)公開のCarbohydrate Polymers誌にオンライン掲載されました。

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本研究のイメージ図