2020年12月8日
北海道大学
山田養蜂場
ポイント
●ミツバチ産品であるプロポリスの好塩基球活性化に対する影響を解析。
●プロポリスはIgEを介した好塩基球活性化反応及び腸管アナフィラキシー反応を抑制。
●食物アレルギーに対する新しい治療薬開発に期待。
概要
北海道大学大学院薬学研究院の柏倉淳一講師及び松田 正教授らの研究グループは,ミツバチ産品プロポリスがIgEに依存した好塩基球の活性化反応を抑制することを見出しました。
食物アレルギーは食物抗原の摂取により引き起こされるアナフィラキシー反応であり,時に死に至る非常に危険なアレルギー反応です。現在のところ,根治療法が存在しないため原因食物の除去による対処が一般的であり,患者の生活の質の低下や成長不全が問題になっていることから,食物アレルギーの発症機序や重症化のより詳細な解明が必要とされています。
好塩基球は白血球の一つで,アレルギー反応に関わることが知られています。特に,食物アレルギー発症や重症化への好塩基球の関与が示されており,新たな好塩基球活性化制御物質の発見は,食物アレルギー患者に対する,新規治療薬開発につながると考えられています。
今回研究グループは,ミツバチ産品の一つであるプロポリスが,好塩基球の活性化を抑制し食物アレルギー反応を抑えることを見出しました。プロポリスを好塩基球に添加し,活性化の変化を観察したところ,IgE依存性のサイトカイン産生が減少しました。また,プロポリスを投与したマウスでは,食物アレルギー反応の重症化が大幅に抑制されました。本研究は,好塩基球を標的細胞として,食物アレルギー反応に対してプロポリスが作用することを発見したものであり,食物アレルギー疾患への新たな治療薬開発に繋がります。
なお,本研究成果は2020年12月2日(水)公開のAllergology International誌に掲載されました。
また,本研究は予防医学の観点からミツバチ産品(ローヤルゼリー,プロポリスなど)をはじめとする天然素材で健康を守る研究に取り組む山田養蜂場みつばち研究助成基金の支援を受け行われました。
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