新着情報

ホーム > プレスリリース(研究発表) > インスリンを作る細胞を守る新たな方法を発見~糖尿病の新規治療法開発への貢献に期待~(医学研究院 講師 中村昭伸)

インスリンを作る細胞を守る新たな方法を発見~糖尿病の新規治療法開発への貢献に期待~(医学研究院 講師 中村昭伸)

2021年2月19日

ポイント

●グルコキナーゼの抑制が糖尿病で起こるインスリン産生細胞の量の低下を防ぐことを発見。
●グルコキナーゼを抑制することで,糖尿病マウスの高血糖を改善させることに成功。
●新薬開発など糖尿病に対する新たな予防法・治療法の進展に期待。

概要

北海道大学大学院医学研究院の中村昭伸講師,大森一乃客員研究員,渥美達也教授らの研究グループは,横浜市立大学大学院医学研究科の寺内康夫教授との共同研究により,インスリンを作る細胞を守る新たな方法を発見しました。

糖尿病では,血糖値を下げるホルモンであるインスリンを産生・分泌する膵β細胞の量が低下しているといわれています。そのため,膵β細胞の量を保持する方法を確立することが,糖尿病の本質的治療につながると考えられます。

そこで,ある糖尿病モデルマウスにおいて,グルコキナーゼという酵素に着目し,グルコキナーゼの働きを約半分にしたマウスを作製しました。このマウスは,グルコキナーゼの働きが正常な糖尿病マウスに比べ,膵β細胞量,インスリン分泌量が多く,高血糖が改善し,生存期間も長くなっていることがわかりました。この「グルコキナーゼの抑制が糖尿病で起こるインスリン産生細胞の量の低下を防ぐ」という知見は,今後の糖尿病の新規治療法開発への貢献に期待されます。

なお,本研究成果は,2021218日(木)公開の米国糖尿病学会誌Diabetesにオンライン掲載されました。

詳細はこちら

210219_prpic.jpg
糖尿病マウスのインスリン産生・分泌細胞(膵β細胞)におけるグルコキナーゼ抑制モデル