2021年2月22日
北海道大学
札幌市円山動物園
ポイント
●札幌市円山動物園に導入されたアジアゾウの腸内フローラを解析。
●ミャンマーからの導入後に新たに腸内細菌を獲得したことを確認。
●アジアゾウのような希少動物の健康管理に向けた腸内フローラ研究の進展に期待。
概要
北海道大学大学院獣医学研究院の片倉 賢名誉教授,中尾 亮准教授らの研究グループは,札幌市円山動物園及びミャンマーの大学(獣医科学大学)・政府機関(ミャンマー木材公社)との共同研究で,2018年11月にミャンマーから札幌市円山動物園に導入されたアジアゾウ4頭について,ミャンマーでの飼育下と札幌市円山動物園に導入されてからの腸内フローラ(腸内細菌叢)を比較したところ,その細菌構成が変化していることが明らかになりました。札幌円山動物園への導入後に腸内フローラの多様性が上昇し,新たな腸内細菌を獲得しており,優占する細菌群の割合にも変化が見られました。
アジアゾウは陸上で最大級の動物で,南アジアや東南アジアに生息しています。人間活動による生息環境の減少や密猟などにより個体数は減少し,現在では絶滅危惧種に指定されています。アジアゾウの保全のためには,個体群調査や生息環境整備に加えて,繁殖,健康維持,疾病予防のための生物学的基礎データの蓄積が重要となります。
腸内フローラは人を含めた動物の健康に関係することが知られており,アジアゾウなどの希少動物の健康管理に向けた研究展開が期待されます。
なお,本研究成果は,2021年1月12日(火)公開のScientific Reports誌にオンライン掲載されました。
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