2021年4月13日
ポイント
●翼竜類ダーウィノプテルス類の仲間,クンペンゴプテリクス属の新種を記載。
●世界で最古の真の母指対向性。
●ジュラ紀後期の中国は,脊椎動物の空中生活が栄えた時期と推定。
概要
北海道大学大学院理学院博士課程の周炫宇(Zhou Xuanyu)氏と同大総合博物館の小林快次教授らの国際研究チームは,中国河北省のジュラ紀後期の地層(オックスフォーディアン期の約1億6,100万年から1億5,800万年前の地層)から発見された翼竜化石を,クンペンゴプテリクス属の新種(クンペンゴプテリクス・アンティポレカツス)として記載しました。この属は,翼竜類の中でも比較的原始的なグループであるダーウィノプテルス類の仲間です。
クンペンゴプテリクス・アンティポレカツスの特筆すべき特徴は,手の第1指が他の指(第2,3,4指)向かい合わせとなっている,母指対向性であることです。母指対向性を持つ動物に,カメレオンなどの爬虫類,鳥類や哺乳類(特に霊長類)が知られていますが,今回の発見は最古の真の母指の化石記録になりました。この翼竜は,母指対向性の手を使って樹上生活をしていたと考えられます。
さらに,ジュラ紀後期の中国には亜熱帯性の森林が広がっており,そこには翼竜だけではなく,飛行する哺乳類や恐竜類も棲んでいました。このことから,ジュラ紀後期の中国には,脊椎動物の空中生活が栄えた時期であると考えられます。
なお,本研究成果は,2021年4月13日(火)オンライン公開のCurrent Biology誌に掲載されました。
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