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癌エクソソーム中miRNAによる血管のIL-6産生と抗癌剤耐性誘導を発見~癌のエクソソームmiRNA-1246阻害による抗癌剤の治療効果増強が期待~(歯学研究院 教授 樋田京子)

2021年7月6日

ポイント

●癌細胞のmiRNA-1246がエクソソームにより血管内皮細胞に輸送されることを発見。
●癌エクソソームmiRNA-1246による血管内皮のIL-6産生と抗癌剤耐性が誘導されることを発見。
●癌のmiRNA-1246標的による抗癌剤耐性の克服・回避が期待。

概要

北海道大学大学院歯学研究院の樋田京子教授,間石奈湖助教,同大学院歯学研究科博士課程(研究当時)の鳥居ちさほ氏,川本泰輔氏,北海道大学病院の樋田泰浩准教授,熊本大学の南 敬教授,東京医科大学の落谷孝広教授らの研究グループは,癌細胞が分泌するエクソソームに含まれるmiRNAによって腫瘍血管のIL-6産生が増加し,抗癌剤耐性が誘導されることを初めて明らかにしました。

薬剤耐性は癌患者の予後を不良にする大きな要因となっており,その克服は癌治療上,重要な課題の一つです。薬剤耐性は癌細胞に生じるものとされてきましたが,研究グループは高転移性の癌細胞が分泌するエクソソームにはmiRNA-1246が多く含まれており,これが腫瘍血管内皮細胞に運搬されることで血管からのIL-6産生が増加することを明らかにしました。さらにIL-6により血管の抗癌剤耐性が誘導されることを見出しました。これは全く新しい薬剤耐性のメカニズムを解明した成果です。miRNA-1246を多く含む癌のエクソソームの阻害は耐性を克服する新たな治療戦略となることが期待されます。

なお,本研究成果は,2021年75日(月)公開のScientific Reports誌にオンライン掲載されました。

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本研究成果の概要図