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骨粗鬆症治療薬PTH製剤の骨コラーゲンの整調効果を解明~しなやかな骨づくりが骨折リスクの低減につながる~(歯学研究院 教授 飯村忠浩)

2021年7月16日
北海道大学
旭化成ファーマ株式会社
株式会社ニコン

ポイント

●骨粗鬆症治療薬PTH製剤による骨コラーゲン配列の整調効果を解明。
●骨コラーゲンの配列が骨の微細構造としなやかさに大きく関与していることを解明。
●骨粗鬆症治療薬の新たな評価基準として期待。

概要

北海道大学大学院歯学研究院の飯村忠浩教授と同大学院歯学院博士課程の佐藤孝紀氏(歯科医師)らの研究グループは,旭化成ファーマ株式会社,株式会社ニコンとの共同研究により,骨粗鬆症治療薬PTH(副甲状腺ホルモン)製剤による,骨コラーゲン配列の整調効果の解明に成功しました。

骨粗鬆症は,日本で1,000万人を超える患者を有する疾患です。骨粗鬆症による骨折の予防には,骨密度を高めることに加えて,柔軟性のある質の高い骨を作ることが有効です。骨粗鬆症治療薬の一つであるPTH製剤には,骨の量を増やし,骨粗鬆症による骨折を予防する効果があります。しかし,骨にしなやかさを付与する骨内のコラーゲン線維の配列や骨粗鬆症に伴う変化については解明されていませんでした。

研究グループは,骨粗鬆症モデルのカニクイザルにPTH製剤を投与し,コラーゲン線維の配列に生じた変化の検証を行いました。この観察には,SHGイメージングという,侵襲性がなく,染色せずにコラーゲンの観察が可能な、先進的生体可視化ツールを用いました。

その結果,PTH製剤を投与することにより,骨のコラーゲン線維が直線状に規則正しく並び,太く長いコラーゲンが形成されることが明らかとなりました。この研究では,PTH製剤投与によって,骨にかかる力を逃す機構が働きやすくなり,しなやかな折れにくい骨が形成されることが明らかとなりました。また骨の作られる空間パターンも太いコラーゲン線維の配列に対応し,丈夫な層構造を形成することが併せて明らかとなりました。

本研究のさらなる発展は,骨粗鬆症治療薬の新たな評価基準として非常に有益です。

なお,本研究成果は,202168日(火)公開のMicroscopy誌に掲載されました。

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