2021年8月30日
ポイント
●14年間の全国婦人科がん登録データにより,顆粒膜細胞腫患者1,426名を調査。
●腫瘍進展例にリンパ節転移が多く,リンパ節転移陽性及び腫瘍残存が予後不良因子と判明。
●稀少卵巣がんである顆粒膜細胞腫の手術治療の標準化につながることが期待される成果。
概要
北海道大学大学院保健科学研究院の蝦名康彦教授,東海大学医学部産婦人科学教室の三上幹男教授らの研究グループは,日本産科婦人科学会と日本婦人科腫瘍学会との共同研究として,卵巣顆粒膜細胞腫(GCTs)の臨床病理学的特徴及び予後不良因子を明らかにしました。
GCTsは卵巣悪性腫瘍の2%程度を占める稀な腫瘍であるため標準治療が確立されていません。研究グループは,日本産科婦人科学会が行っている婦人科腫瘍登録の14年間分のデータからGCTs 1,426例を対象として検討しました。II期以上の腫瘍進展例にリンパ節転移陽性率が高く,また初回手術時の残存腫瘍及びリンパ節転移が予後不良因子であることを見出しました。手術時所見で腫瘍が卵巣に限局している場合には,診断的リンパ節郭清を省略し手術侵襲を軽減できる可能性,そして播種を有する進行例では,腫瘍減量により残存腫瘍をゼロとすることが予後改善につながることが示唆されました。これらの成果が,GCTsにおける手術治療の標準化につながることが期待されます。
なお,本研究成果は,2021年8月26日(木)公開のGynecologic Oncology誌にオンライン掲載されました。
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