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認知症予防にはこんにゃく由来グルコシルセラミドが効果的~植物セラミドでヒト脳内アミロイドß蓄積抑制を確認~(先端生命科学研究院 特任准教授 湯山耕平)

2021年8月30日
北海道大学
株式会社ダイセル
北海道情報大学

ポイント

●植物セラミド摂取により脳内アミロイドß蓄積が減少することをヒト介入試験で確認。
●認知症予防目的の機能性食品素材や新薬開発に期待。

概要

北海道大学大学院先端生命科学研究院の五十嵐靖之客員教授,門出健次教授,湯山耕平特任准教授らの研究グループは,株式会社ダイセル,北海道情報大学健康情報科学研究センターと共同でヒト介入試験を実施し,植物由来セラミドが脳内アミロイドßペプチド(Aß)蓄積を軽減させることを発見しました。

我が国では認知症患者数は400万人を超え,そのうちの60%以上を占めるアルツハイマー病の予防法・治療法の開発は喫緊の課題となっています。アルツハイマー病の発症原因の一つは,Aßが脳内に過剰に蓄積することとされており,その蓄積抑制は予防を目的とした先制治療薬や機能性食品素材の開発戦略の一つとなっています。

研究グループはこれまでに,こんにゃく芋から精製した植物由来グルコシルセラミドをアルツハイマー病モデルマウスに経口投与することで,アミロイドβ除去効果をもつ神経細胞由来エクソソームが増加し,脳内アミロイドβ蓄積が減少することを明らかにしてきました。

今回は,ヒトにおける植物セラミドの効果を検証するため高齢健常者を対象に介入試験を実施し,プラセボまたは植物グルコシルセラミドを摂取した両グループにおいて,脳内Aß蓄積と相関する血中バイオマーカー値を測定したところ,グルコシルセラミド摂取群において摂取前との比較で摂取後に有意な低値を示しました。さらに層別解析を行ったところ,脳内Aß蓄積が相対的に低めの集団において,グルコシルセラミド摂取群ではプラセボ群より有意に低値を示しました。この研究成果から,植物セラミドはアルツハイマー病の予防・治療への活用が期待されます。

本研究成果は,2021年8月30日(月)公開の『薬理と治療』(2021年49巻8号)に掲載されました。なお,本論文は2019年公開のScientific Report(2019年9巻1号)に掲載されたモデル動物を用いた研究成果の続報です。

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こんにゃくセラミドのアミロイドßペプチド蓄積抑制効果