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資源開発がサハ共和国経済にもたらす影響を統計的に解明~ロシア北極域における持続可能な開発の研究に新機軸を打ち出す~(スラブ・ユーラシア研究センター 教授 田畑伸一郎)

2021年10月12日

ポイント

●ロシア連邦サハ共和国の経済発展を地方自治体(郡・市)レベルの詳細な統計データで解明。
●北極域における持続可能な開発を考察するための基礎的資料を提供。
●2020年からの北極域研究加速プロジェクト(ArCSⅡ)で開始された研究の最初の成果。

概要

北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターの田畑伸一郎教授は,ロシア北極域に位置するサハ共和国において,石油・ダイヤモンド開発が経済発展にどのような影響を及ぼしているかを地方自治体(郡・市)レベルの詳細なデータの統計分析から解明しました。本研究は,2020年に開始された北極域研究加速プロジェクト(ArCSⅡ)の一環として行われたものです。田畑教授は北極域におけるエネルギー資源開発が地域経済・社会に及ぼす影響を多角的に分析する研究を他大学の研究者と共同で行っています。本研究成果は,ArCSⅡで開始された研究のうち,最初の成果であり,サハ共和国において鉱業部門が地域の経済成長や財政収入にどのように貢献しているかを明らかにしました。

研究上の新機軸としては,共和国レベルの統計データだけでなく,地方自治体(36の郡と市)レベルの総生産(Gross Municipal Product),鉱業生産,財政などのデータを分析し,石油とダイヤモンドでは異なる影響を及ぼしていることを解明したことなどが挙げられます。ArCS IIはコロナ禍で開始され,本研究では不可欠である現地調査ができない状況が続いていますが,田畑教授は北海道大学の協定校である北東連邦大学(ロシア連邦サハ共和国ヤクーツク市)の研究協力者にデータ収集や文献入手などの面での協力を求め,それらを活用して今回の成果をまとめました。この成果は,北極域における持続可能な開発を考察するための基礎的資料を提供するものであり,国連の持続可能な開発目標(SDGs)にも資するものです。なお,本研究成果は,2021910日(金)公開のSustainability誌に掲載されました。

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サハ共和国の1人当たり地方自治体総生産(GMP,2016年)