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道東沖赤潮の横断観測にはじめて成功~漁業被害の原因となる赤潮のメカニズム解明と将来予測の可能性に期待~(水産学部附属練習船うしお丸 助教 飯田高大,水産科学研究院 准教授 芳村 毅)

2021年10月18日

ポイント

●北海道厚岸沖における赤潮の物理,化学,生物パラメータの横断観測にはじめて成功。
●赤潮がロシア海域から流れてきている可能性を提示,また,浦河沖に達しつつあることを観測。
●寒冷域における赤潮のメカニズムと将来予測への期待。

概要

北海道大学水産学部附属練習船うしお丸は,2021105日から1013日に実施した第499次航海において,漁業被害が甚大になっている道東沖赤潮の横断観測にはじめて成功しました。昨年度より実施している厚岸沖定点の物理パラメータ(水温塩分・流向流速),化学成分(栄養塩等),植物プランクトン濃度及び種のサンプルを取得し,特に沖合の数点において,茶色から黒色に見える帯状の濃い赤潮を観測しました。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)が打ち上げ,運用している人工衛星「しきさい」の植物プランクトン(クロロフィルa)濃度からも,9月中旬から10月にかけて植物プランクトンが増殖し,道東沿岸に沿って南下していることが明らかになっています。本学大学院水産科学研究院は北海道厚岸漁業協同組合にこの観測データを直ちに提供し,今後の漁業被害低減に向けて相互協力していくことになりました。

今後,取得したデータの詳細な解析を進め,寒冷域赤潮の実態を解明し,将来予測に繋げていくことが期待されます。

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沖合の数点で観測された帯状の赤潮の様子(撮影:三谷曜子)