2021年11月11日
ポイント
●飲食店広告での創業年表示が商品の評価に及ぼす効果を検証。
●創業年が古い表示は,無表示または創業年が新しい表示よりも品質評価を高めた。
●過去への焦点化によって高品質・美味しいことを期待させ,訪問意欲を高める効果を示唆する。
概要
北海道大学大学院文学研究院の河原純一郎教授らの研究グループは,飲食店広告での創業年表示が,店舗で提供する食品への期待に及ぼす効果を測定しました。実験参加者は,飲食店のweb広告を見て,その店の食品の品質・美味しさへの期待,店への訪問意欲を1から7の数値で評価しました。その結果,広告に創業年表示があるときは,表示がないときに比べ,品質への期待が最大20%程度高く,美味しさへの期待や訪問意欲も高く評価されました。また,表示される創業年が古いほど高い評価が認められました。そして,創業年を西暦にした表示はワイン等の西洋由来の食品には有効でしたが,和菓子のような日本由来の食品には効果が見られませんでした。代わりに,和菓子店では縦書きで和暦表示にすることで食品への期待が高評価されました。したがって創業年表示と製品の概念(西洋か日本由来か)が一致していることが,この効果に重要な役割を果たしていることがわかりました。
本研究成果は,創業年表示が過去から続く店舗であることを連想させ,提供する商品が高品質であるという期待を高めること,そして,その美味しさへの期待を通じて訪問意欲を向上させることを示しており,伝統ある商品の広告表示戦略に貢献することが期待されます。
なお,本研究成果は2021年11月10日(水)にPLOS ONE誌にオンライン掲載されました。
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飲食店のweb広告を30秒観察した後,参加者は品質,美味しさへの期待,訪問意欲について回答した。その結果,古い創業年表示を含む店舗は新しい表示よりも高く評価された。