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歴史を変える!電気的検出を可能にしたプラズモンバイオセンサーの開発に成功~短時間で高感度に様々なタンパク質の検出も可能に!~(電子科学研究所 特任教授  三澤弘明,理学研究院 教授 上野貢生)

2021年11月11日

ポイント

●太陽電池-プラズモン結合によりプラズモンの光学的変化を電気的に検出する新原理の開発に成功。
●新原理によりセンサーシステムの大幅コンパクト化と高感度化とを同時に実現。
●抗原・抗体検査どちらにも対応可で,ウェアラブルバイオセンサーへの応用に期待。

概要

北海道大学電子科学研究所の三澤弘明特任教授と同大学大学院理学研究院の上野貢生教授らの研究グループは,道内に研究所を持つイムラ・ジャパン株式会社(愛知県刈谷市,取締役社長:田内比登志)と共同で,シリコン薄膜太陽電池内に閉じ込めた光とプラズモンとの相互作用を巧みに利用して周囲の屈折率変化に対して鋭敏に電子信号を変化させる新しい原理を見出し,太陽電池とプラズモンとを結合させた革新的バイオセンサーの開発に成功しました。開発したプラズモンバイオセンサーに抗体を化学修飾し,抗原である新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のヌクレオカプシドタンパク質を反応させたところ,2分程度で大きな電気信号の変換が観測され,抗原を定量的に計測可能であることを明らかにしました。

従来のプラズモンセンサーは,様々な生体物質を検出するバイオセンサーとして,現在も創薬や臨床研究などの広い分野で利用されていますが,生体物質とプラズモンとの相互作用を光学的に検出するため,検出系のサイズをコンパクト化することは困難でした。今回開発したプラズモンバイオセンサーは,光を閉じ込める機能を持つ薄膜太陽電池をプラズモンと結合させたため,プラズモンと生体物質とが相互作用すると太陽電池の発電効率が大きく変化して高感度な検出及びシステムのコンパクト化が可能になりました。本技術は将来,服のように身に付けられるバイオセンサーへの応用が期待されます。

なお,本研究成果は2021年11月10日(水)公開のNature Communications誌にオンライン掲載されました。

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太陽電池-プラズモン結合型バイオセンサー略図(ある条件で表面プラズモンが誘起されるとシリコン膜内を光が往復しないために電流値は小さいが,抗体に抗原の新型コロナウイルスのタンパク質が結合すると屈折率が変化して表面プラズモンが誘起されなくなり,シリコン膜内を光が往復して強い光電流が流れる。)