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がんの転移先はエクソソームの糖衣(糖鎖パターン)が決定することを発見!~がん転移の先回り治療法の開発に期待~(先端生命科学研究院 教授 西村紳一郎)

2021年12月22日

北海道大学
遠友ファーマ株式会社

ポイント

●がん細胞の糖衣(糖鎖パターン)をまるごと写し取りナノ微粒子に提示する方法を開発。
●糖衣の違いによりマウス体内へ投与したナノ微粒子の転移する臓器指向性が異なることを発見。
●がんの転移に先立って前転移ニッチの形成を阻害する新たな治療法の開発に期待。

概要

北海道大学大学院先端生命科学研究院の西村紳一郎教授と北海道大学発バイオベンチャー遠友ファーマ株式会社(本社:札幌市,代表取締役CEO:長堀紀子)は,これまで大きな謎とされていた「がんの転移メカニズム」の解明とそのユニークな機序に基づく,新たな抗がん治療薬開発を目的とする共同研究を2020年4月から進めてきました。
このたび,抗接着性のナノソームと呼ばれる粒径20ナノメートル程度の超高性能ナノ微粒子を利用した研究により,がんの転移のしやすさや転移先(臓器・組織指向性)はがん細胞が分泌する「エクソソーム」というナノサイズの細胞外微粒子の表面を覆う「糖衣(glycocalyx)」とよばれる糖鎖のパターンが決定していることを世界で初めて明らかにしました。
この結果から,糖鎖を用いた薬物送達システム(Drug Delivery System, DDS)によってがんの転移を先回りして防ぐという全く新しいタイプのがん治療薬の開発が期待できます。
なお,本研究成果は,2021年12月9日(木)Biomaterials誌にオンライン掲載されました。

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研究方法の概要と今回明らかになった結果の説明図