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CO2を利用したプロパン酸化脱水素に有効な触媒を開発~活性・選択性・耐久性・CO2利用効率の全てにおいて世界最高性能を達成~(触媒科学研究所 准教授 古川森也)

2022年1月28日

ポイント

●プロピレン製造とCO2有効利用を同時かつ高効率に達成可能な新触媒の開発に成功。
●白金-コバルト-インジウム合金ナノ粒子と酸化セリウム担体の協働作用が高性能化の鍵。
●カーボンニュートラルに貢献可能な新規プロピレン製造技術の実現に向けた技術革新に期待。

概要

北海道大学大学院総合化学院博士後期課程のシン・フェロン氏,中谷勇希氏,安村駿作氏,触媒科学研究所の清水研一教授,古川森也准教授らの研究グループは,CO2を利用したプロパン酸化脱水素によるプロピレン製造において,活性・選択性・耐久性・CO2利用効率の全てにおいて世界最高性能を発揮する高性能新規触媒の開発に成功しました。

本反応は高効率なプロピレン製造とCO2の有効利用を同時に達成可能な反応として近年注目されていますが,実用レベルで有効な触媒が開発されていないため,未だ基礎研究の範囲を脱していませんでした。そこで,研究グループは,白金とコバルトとインジウムの合金ナノ粒子を酸化セリウム上に担持した触媒が,上述の高い性能を示す革新的触媒として機能することを見出しました。特に活性は従来触媒の5倍に達し,CO2を削減しながらプロピレンを高効率かつ長時間安定的に製造することができます。本研究結果を発展させることで,従来型のプロパン脱水素工業プロセスに代わってカーボンニュートラルの実現に貢献可能な新たなプロピレン製造システムを構築できる可能性が期待されます。

なお本研究成果は,20221月27日(木)にNature Catalysis誌にオンライン掲載されました。

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開発触媒の構造と反応の概要(左)及び各構成要素の機能と役割(右)