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ナノレベルで厚さを制御した自立型COF膜の作製に成功~将来的なCO2分離技術への貢献に期待~(工学研究院 教授 島田敏宏)

2022年2月14日

北海道大学
東邦大学

ポイント

●真空蒸着法を応用して,ナノメートルレベルで厚さを制御したCOF膜を合成することに成功。
●CO2透過性が高い要因はゲート効果ではなくCOFとCO2の間に働く分子間力であると解明。
●合成法のさらなる精密化により,より高機能なCOF膜の作製に期待。

概要

北海道大学大学院総合化学院修士課程の加藤将貴氏,同大学院工学研究院の島田敏宏教授と東邦大学理学部化学科の柳瀬 隆講師らの研究グループは,交互蒸着法と呼んでいる新たな蒸着重合法を利用してナノメートルレベルで厚さを制御した共有結合性有機構造体(COF)膜の合成に成功しました。この手法では前駆体となる2つの分子の比率を精密に制御して蒸着することにより,耐薬品性・機械的強度の高い堅牢なCOF膜を作製できます。また,合成したCOF膜は容易に基板から剥がすことが可能で,自立膜として利用できるメリットもあります。本研究で作製したCOF膜はナノメートルサイズの微細孔を数多く有するため,この性質を利用すると混合ガスを分離することが可能となります。

本研究では合成したCOF膜を二酸化炭素(CO2)と窒素(N2)の分離に応用しました。すると,CO2の透過量はN2の4倍以上で高い選択性を確認することができ,CO2が効果的に分離されることを明らかにしました。この選択性の高さがゲート効果ではなく,COF膜の微細孔部分に存在するカルボニル基とCO2の間に働く分子間力によるものであると量子化学計算を用いて解明しました。

なお,本研究成果は,2022年2月2日(水)公開のACS Applied Nano Materials誌にオンライン掲載されました。

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作製した自立膜()COF膜がCO2N2を分離するイメージ図()