2022年4月19日
ポイント
●2018年北海道胆振東部地震時の流木発生と地震後の移動実態を解明。
●流木対策の必要性や対策優先度の決定を目的とした流木災害発生危険度評価手法を提案。
●気候変動への適応や渓流生態系保全にも貢献する効果的な流木対策の実施に期待。
概要
北海道大学広域複合災害研究センターの厚井高志准教授,同センターの田中健貴助教(研究当時),同大学大学院農学研究院の桂 真也助教,東京大学大学院農学生命科学研究科の堀田紀文准教授の研究グループは,2018年北海道胆振東部地震時の流木発生と地震後の移動実態を明らかにし,将来的な流木災害発生の危険度評価手法を提案しました。
地震により広範囲で崩壊が発生した厚真町内に設置した調査流域内では,地震時に崩壊とともに大量の流木が発生していました。さらに,こうした流木の80%以上が斜面から河道に移動・堆積しました。地震から2年が経過しても,流木はほとんど移動しませんでした。
流木が再び移動する可能性を評価した結果,現状では流域全体に残存する流木が今後一律に再移動する可能性は低く,また,最大級の降雨条件下であっても,流域内すべての流木が高確率で再移動することは想定されませんでした。
以上を踏まえて,研究グループは流木災害発生危険度評価手法を提案しました。本研究により,流木の性状や空間分布を把握することで,残置も含めた流木対策の必要性や流域内の対策優先度を決定することが可能となりました。
なお,本研究成果は,2022年3月29日(火)公開のFrontiers in Earth Science誌にオンライン掲載されました。
論文名:Generation and Subsequent Transport of Landslide-driven Large Woody Debris Induced by the 2018 Hokkaido Eastern Iburi Earthquake(2018年北海道胆振東部地震時の斜面崩壊に伴う流木の発生とその後の移動)
URL:https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/feart.2021.769061/full
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