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マイマイガ用ライトトラップの開発に成功~休憩施設への飛来虫防止に期待~(電子科学研究所 助教 西野浩史)

2022年5月19日

ポイント

●大型のガを優先的に捕獲するソーラーパネルを実装した持続設置型トラップを開発。
●照射角を狭めることで,他の小さな昆虫はなるべく逃がし,大型のガのみを中心に誘虫を促進。
●持続可能な開発目標(SDGs)の11. 豊かな町作り,15. 陸の生物多様性保全に期待。

概要

北海道大学電子科学研究所の西野浩史助教及び堂前 愛学術研究員らの研究グループは,フィールドデータをもとに大型のガ(マイマイガなど)を優先的に捕獲し,他の昆虫はなるべく逃がすライトトラップを開発しました。
 北海道の森林面積は日本の都道府県で最も広く,夏も短いため,観光シーズン真っ只中に森林昆虫が大量発生します。北海道の道路は森林地帯を通過するため,休憩施設の人工光源に大量のガが飛来します。特に,マイマイガやクスサンは翼長610cmと大きく,休憩施設への定着・産卵することがあり,利用者の苦情のもとになってきました。休憩施設には多くの利用者が集まるため,農薬の散布を控える必要があり,「環境にやさしい飛来虫防除法の開発」が望まれていました。
 使用した光源は,光波長だけでなく,照射角やトラップ形状を最適化したうえで,ソーラーパネルを実装することで,持続使用を可能にしました。マイマイガの人工照明への飛来, 施設への定着は全国的な問題となっており,本トラップは環境低負荷型のマイマイガ防除の一助となることが期待されます。

なお,本研究成果は202252日(月)公開のZoological Science誌にオンライン掲載されました。

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トラップで捕獲された昆虫をチェックする様子。
2018年の連続台風(台風20号・21号)直撃,北海道胆振東部地震 (9/6)でも損傷はなかった。