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ゲノム解析を利用した膵癌予後予測~膵癌治療戦略への貢献に期待~(医学研究院 助教 中村 透)

2022年5月24日

北海道大学
旭川医科大学
札幌東徳洲会病院

ポイント

●がん抑制遺伝子TP53の変異形式と予後の関連に着目。
TP53SMAD4の変異,腫瘍マーカーCA19-9の値を用いた新規予後予測scoreの作成。
●膵癌治療決定への新規ツールとして期待。

概要

北海道大学大学院医学院消化器外科学教室II博士課程の小野雅人氏,同大学大学院医学研究院の中村 透助教,平野 聡教授らの研究グループは,旭川医科大学内科学講座(病態代謝・消化器・血液腫瘍制御内科学分野(がんゲノム医学部門))の水上裕輔教授,札幌東徳洲会病院医学研究所の小野裕介部門長,東北大学大学院医学系研究科病態病理学分野の古川 徹教授らと共同研究を行い,膵癌のゲノムデータを解析し,臨床データと集約することで,膵癌の外科切除後の新しい予後予測モデルを作成しました。

共同研究グループは,膵癌術後長期生存例32例と術後早期再発死亡例34例のゲノム解析により変異データを集約し,臨床データを含め比較検討しました。その結果,がん抑制遺伝子TP53の変異形式が予後に関連する可能性があることを示しました。同変異形式とSMAD4変異の有無に加え,腫瘍マーカーCA19-9の値を用いた新規の予後予測モデルを作成しました。更に計21例の膵癌術後検体を使用することで,同モデルの有効性が示されました。本研究結果をもとに,今後は膵癌診断時に採取される組織のゲノム解析の結果と採血結果を用い,手術や化学療法などの治療選択に貢献することが期待されます。

本研究の成果は,2022410日(日)公開のAnnals of Surgical Oncology誌に掲載されました。

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早期再発死亡例34例と長期生存例32例を解析し,予後予測に関わる因子を同定。