2022年7月25日
ポイント
●アルマイト(ナノポーラスアルミナ)を誰でも簡単に剥離する技術の開発に成功。
●安定・安全な化学薬品を用いて電気を流すと、わずか0.5秒の超高速でアルマイトが剥離。
●最先端ナノテクノロジーへのアルマイトの応用展開が、より容易に。
概要
北海道大学大学院工学院修士課程の宮本和哉氏、同博士後期課程の岩井 愛氏、同大学大学院工学研究院の菊地竜也准教授の研究グループは、アルミニウムの不動態皮膜として有名な「アルマイト(ナノポーラスアルミナ)」を安全な方法によって超高速剥離する技術の開発に成功しました。
アルマイトはナノサイズの小さな細孔が無数に配列したナノポーラス構造をもつことから、様々なナノテクノロジーへの応用に関する研究開発が世界各国で活発に行われています。本研究で開発した新規のアルマイト剥離法は、エチレングリコールと塩化ナトリウムからなる安定・安全な溶液にアルマイト形成アルミニウムを浸漬し、わずか0.5秒間電気を流すことにより、アルマイトを超高速剥離する革新的な技術です。さらに、剥離したアルマイトをリン酸水溶液に浸漬すると、アルマイト底部の不動態バリヤー層が優先的に溶解し、アルマイト上部から下部まで細孔が貫通した「細孔貫通膜(スルーホールメンブレン)」を作製することができました。この超高速剥離技術を用いることにより、最先端ナノテクノロジーへのアルマイトの応用と工業化が極めて容易になるものと期待されます。
本研究成果は、2022年7月19日(火)にElectrochimica Acta誌の電子版に掲載されました。
論文名:Rapid electrochemical separation of anodic porous alumina films from aluminum surfaces using a highly safe sodium chloride-ethylene glycol solution(高い安全性をもつ塩化ナトリウム-エチレングリコール溶液を用いたアルミニウム表面からのポーラスアルミナ皮膜の高速電解剥離)
URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0013468622010246
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