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新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)と結合する人工DNAアプタマーの開発に成功~エアロゾルに含まれるウイルス検知を可能にし、空間センシングによる安全・安心な社会の実現への貢献に期待~(人獣共通感染症国際共同研究所 教授 澤 洋文)

2022年7月19日

ポイント

●新型コロナウイルスと結合する人工DNAアプタマーの開発に成功。
●開発したアプタマーはSARS-CoV-2のRBD領域に結合することを確認。
●空間センシングを行うバイオセンサーとしての利用や感染予防への有効性に期待。

概要

北海道大学人獣共通感染症国際共同研究所の澤 洋文教授らと、NECソリューションイノベータ株式会社(本社:東京都江東区新木場、代表取締役 執行役員社長 石井 力、以下NECソリューションイノベータ)の研究グループは、NECソリューションイノベータが保有するアプタマー開発技術を利用して、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に結合する人工DNAアプタマー(以下アプタマー)の開発に成功しました。

このアプタマーは、SARS-CoV-2表面のスパイクタンパク質(Sタンパク質)のRBD領域(受容体結合ドメイン)を標的として人工的に合成して作製しました。その結果、結合評価試験では、SARS-CoV-2オリジナル株(WK521株)及び、変異株(アルファ株、ベータ株、ガンマ株、デルタ株)の全5株のSタンパク質のRBD領域と結合することを確認しました。

本研究は北海道大学と日本電気株式会社(本社:東京都港区、代表取締役 執行役員社長 兼CEO:森田 隆之、以下 NEC)が締結している連携協定の成果の一つです。

今後、連携協定の目的である、「空間センシングによる安全・安心な社会」の実現に向け、バイオセンサーとしての利用や、感染予防(感染阻害)への有効性が期待されます。

本研究成果は、202252日(月)公開の、Biochemical and Biophysical Research Communications誌にオンライン掲載されました。

論文名:A high-affinity aptamer with base-appended base-modified DNA bound to isolated authentic SARS-CoV-2 strains wild-type and B.1.617.2 (delta variant)(SARS-CoV-2野生型及びデルタ変異体に強く結合する塩基付加型DNAアプタマー)
URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0006291X22006015?via%3Dihub

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Sタンパク質RBD領域に結合するアプタマー概念図