2022年8月30日
ポイント
●市販の洗口液に含まれる濃度でCPCがSARS-CoV-2に対して、抗ウイルス効果を示すことを発見。
●CPCの新たな抗ウイルス効果の機序を示唆。
●CPC製剤によるSARS-CoV-2感染予防、COVID-19発症・重症化予防効果が期待。
概要
北海道大学大学院歯学研究院の樋田京子教授、同大学大学院歯学院博士課程の武田 遼氏らの研究グループは、市販の洗口液等に使用されている殺菌成分のセチルピリジニウム塩化物水和物(CPC)が、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対して抗ウイルス効果があることを示し、CPC製剤によりSARS-CoV-2感染予防、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)発症・重症化予防等の効果が期待できることを明らかにしました。
これまでのCPCに関する研究においては、250µg/mL以上の高濃度でSARS-CoV-2エンベロープ(脂質膜)の破壊による、感染性の抑制が報告されていました。しかし、本邦の一般的な洗口液中に使用される濃度50µg/mL以下においては、SARS-CoV-2に対する効果は不明でした。
研究グループはCPCが濃度依存的にTMPRSS2過剰発現VeroE6細胞へのSARS-CoV-2感染を抑制し、健常者ヒト唾液中であっても同様の効果を発揮することを明らかにしました。CPCが50µg/mL程度の濃度においてもウイルス粒子の形態変化をもたらし不活化することを示し、CPCによる抗ウイルス効果の新たな作用機序を発見しました。
なお、本研究成果は、2022年8月18日(木)公開のScientific Reports誌にオンライン掲載されました。
論文名:Antiviral effect of cetylpyridinium chloride in mouthwash on SARS-CoV-2(SARS-CoV-2に対する洗口液成分セチルピリジニウム塩化物水和物の抗ウイルス効果)
URL:https://doi.org/10.1038/s41598-022-18367-6
詳細はこちら