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赤ビーツが冷えた手指を早く温める~末梢部の血流促進と冷え改善への活用に期待~(工学研究院 准教授 若林 斉)

2022年10月31日

ポイント

●赤ビーツ飲料を摂取すると、冷えた手指が早く温まる効果があると判明。
●成人男性のうち、冷え性傾向の強い人ほど赤ビーツによる皮膚温回復作用が大きい。
●冷え性者の末梢部血流促進と冷えの改善への活用に期待。

概要

北海道大学大学院工学研究院の若林 斉准教授、同大学大学院農学研究院の崎浜靖子講師、橋本 誠教授らは、同大学ロバスト農林水産工学国際連携研究教育拠点における共同研究により、赤ビーツ飲料の摂取によって、冷えた手指が早く温まることを明らかにしました。

赤ビーツに豊富に含まれる硝酸塩は、体内で一酸化窒素(NO)に変化し、NOの血管拡張作用によって血圧を下げることや血流を促進することが知られていました。本研究では、手指などの末梢部の冷えの改善に赤ビーツによる血流促進作用を活用できないかと考え、ヒト対象実験により検証しました。研究参加者は、8℃の水に手を30分間浸漬させて手指を冷却した後、室温27℃の環境で指先の皮膚血流や皮膚温度の回復を測定しました。

その結果、水を摂取した条件に比べて、赤ビーツ条件では、冷却後の皮膚血流増加が大きく、皮膚温回復速度が速まることが明らかになりました。さらに、赤ビーツによる皮膚温回復作用には個人差が見られ、水条件で回復の遅い人(冷え性傾向の強い人)ほど赤ビーツ摂取の効果が顕著に示されました。

本研究の成果から、寒冷地作業者や冷え性の方の末梢部の冷えの緩和に、赤ビーツの摂取による血流促進作用の活用が期待されます。

なお、本研究成果は、20221028日(金)公開のEuropean Journal of Applied Physiology誌にオンライン掲載されました。

論文名:Influence of acute beetroot juice supplementation on cold-induced vasodilation and fingertip rewarming(赤ビーツ飲料の摂取が寒冷血管拡張反応と指先皮膚温の回復に及ぼす影響)
URL:https://doi.org/10.1007/s00421-022-05071-6

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手部を30分間冷水で冷却した後の指先の皮膚血流の応答(A)、指先の皮膚温の回復速度(B)。
*水と赤ビーツ条件間で有意差(p<0.05)。