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少量の血液からアミロイドß結合エクソソームを検出する技術を開発~簡便・迅速なアルツハイマー病早期検出への貢献に期待~(先端生命科学研究院 特任准教授 湯山耕平)

2022年10月3日

北海道大学
凸版印刷株式会社

ポイント

●アミロイドß結合エクソソームのデジタル検出技術の開発に成功。
●アルツハイマー病モデルマウス血液中のアミロイドß結合エクソソームの加齢増加を確認。
●次世代アルツハイマー病早期診断法の開発に期待。

概要

国立大学法人北海道大学(北海道札幌市、総長:寳金清博)大学院先端生命科学研究院の湯山耕平特任准教授らの研究グループ(以下 湯山研究グループ)と凸版印刷株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:麿 秀晴、以下、凸版印刷)は、アルツハイマー病の発症リスク評価における血液バイオマーカーとなるアミロイドβが結合したエクソソームを1個単位で識別・検出する技術の開発に成功しました。

本技術は、検出チップ上に集積した100万個のマイクロメートルサイズの微小なウェルに標的となる分子や粒子を確率的に1個ずつ閉じ込めて、分子や粒子から発する信号の有り「1」、無し「0」で標的をデジタル検出・定量する高感度バイオセンシング技術です。信号検出には凸版印刷の独自技術である「Digital ICA®(デジタル アイシーエー)」を採用し、アルツハイマー病モデルマウスの少量の血液(100マイクロリットル程度)を用いてアミロイドß結合エクソソームが定量的に検出可能となりました。この技術を使ってアルツハイマー病モデルマウスの血液中のアミロイドß結合エクソソームを経時的に計測したところ、加齢で脳内のアミロイドß蓄積が進むに従って、その量が増加することを発見しました。

湯山研究グループのこれまでの研究から、アミロイドß結合エクソソームは、アルツハイマー病の初期病理であるアミロイドß蓄積に関与すると考えられています。血液バイオマーカーとしてこの特定のエクソソームを検出することで、発症前や初期アルツハイマー病を簡便な方法で迅速に診断することができ、予防医学の発展に貢献します。

本研究成果は、2022103日(月)、Springer Nature社の科学誌Alzheimer's Research & Therapyにオンライン掲載されました。

論文名:Immuno-Digital Invasive Cleavage Assay for Analyzing Alzheimer's Amyloid ß-Bound Extracellular Vesicles(アルツハイマー病のアミロイドß結合細胞外小胞を計測するイムノデジタルICA法)
URL:https://doi.org/10.1186/s13195-022-01073-w

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アルツハイマー病モデルマウス血液中アミロイドß結合エクソソームのデジタル計測