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常圧220℃でCO2からのアルコール電解合成に初めて成功~電解セル技術のゼロカーボン社会への貢献に期待~(工学研究院 教授 菊地隆司)

2022年11月10日

ポイント

●リン酸塩電解質を用いた電解セルでCO2の電気化学的な還元に成功。
●CO2からのメタノールやエタノール、エチレンやプロピレンの直接合成に成功。
●CO2を再資源化する炭素循環サイクルの進展に期待。

概要

北海道大学大学院工学研究院の菊地隆司教授らの研究グループは、固体リン酸塩を電解質とする電解セルを用いて二酸化炭素(CO2)を電気分解することにより、メタノールやエタノールを直接合成することに成功しました。常圧220℃という温和な反応条件において、CO2を電極触媒上でメタノールやエタノールに直接変換することに成功したのは世界で初めてです。これらのアルコールに加えて、液体燃料や石油化学製品の原料となるエチレンやプロピレンをCO2から直接合成することにも成功しています。

これまでにも作動温度が100℃未満の固体高分子電解質や液体電解質、作動温度が500℃以上の固体酸化物電解質を用いたCO2の電気化学還元は多数報告されていますが、前者は反応速度が小さい、後者は生成物が一酸化炭素(CO)やメタン(CH4)に限られるという課題を抱えており、より炭素数の多い炭化水素やアルコール類の高速な直接合成が望まれていました。

今後は、電極触媒の最適化や電解反応条件の検討により、CO2転化率と生成物の選択性を向上させ、CO2を効率よく高速で有用な化学物質に変換する装置開発につなげます。

なお、本研究成果は、2022119日(水)、iScience誌にオンライン掲載されました。

論文名:Direct Conversion of Carbon Dioxide and Steam into Hydrocarbons and Oxygenates Using Solid Acid Electrolysis Cells(固体酸塩電解質を用いた電解セルによる二酸化炭素と水蒸気からの炭化水素及び含酸素化合物の直接合成)
URL:https://doi.org/10.1016/j.isci.2022.105381

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固体リン酸塩を電解質とする電解セルを用いたCO2からの有用化学物質の直接合成