新着情報

ホーム > プレスリリース(研究発表) > 今こそ札幌市民がヒグマ出没対策を話し合う場を~2021年度実施の市民会議に係る実施報告書を作成・公開~(CoSTEP 特任講師 池田貴子)

今こそ札幌市民がヒグマ出没対策を話し合う場を~2021年度実施の市民会議に係る実施報告書を作成・公開~(CoSTEP 特任講師 池田貴子)

2022年12月15日

ポイント

●札幌市のヒグマ出没について、市民、専門家及び札幌市職員が話し合う市民会議の報告書を公開。
●アンケートと市民会議での熟議により「ヒグマに関する知識はあるが経験は少ない」市民像を解明。
●市民や行政職員、専門家が札幌市のヒグマ対策の当事者として話し合う場づくりが必要。

概要

北海道大学大学院理学院博士後期課程2年の遠藤 優氏、同大学高等教育推進機構の三上直之准教授及び同大学大学院教育推進機構の池田貴子特任講師らの研究グループは、「2021年度 さっぽろヒグマ市民会議 実施報告書:これからの札幌市民とヒグマをめぐる、ミニ・パブリックスの実践と展開」を20221026日(水)に公開しました。

札幌市では近年、2021年の東区の住宅街へのヒグマ出没をはじめ、市街地や住宅街へのヒグマの出没が問題になっています。加えて、札幌市のヒグマ対策の基本指針である「さっぽろヒグマ基本計画」は、パブリックコメントを経て20233月に改定される予定となっており、目前に迫っています。札幌市民とヒグマをめぐる社会背景が大きな変化を迎えている今こそ、札幌市民のヒグマに対する多様な価値観を明らかにし、市民に沿った対策が展開されることが求められています。

そこで研究グループは、2022211日(金)に「さっぽろヒグマ市民会議」をオンラインで開催しました。市民会議では、札幌市全体の縮図となるように無作為に選んだ16歳以上の市民12名とともに、行政及び研究者を加えて、札幌市のヒグマ出没後の対応及び市街地侵入抑制策について意見交換を行いました。

本市民会議の席上での話し合いの結果や会議開催前後に実施したアンケート結果から、札幌市民の大半が、ヒグマについて一定の関心や知識を持ち、市街地や住宅街へのヒグマの出没に何らかの考えを抱いていることが明らかになりました。その考えは、実際にヒグマに遭遇したり被害にあったりといった経験ではなく、これまで見聞きした情報に基づくものがほとんどでした。

こうした札幌市民のヒグマに対する考えやその背景を考慮すると、今回の市民会議は、ヒグマ政策に関する現状や課題の共有と、札幌市民のヒグマをめぐる問題に対する当事者意識の向上という2つの効果があったと推測されます。今後、従来のような市民に対するヒグマ対策の普及啓発に加え、前述の市民会議のような、異なる立場の人々がヒグマ対策の当事者として話し合う場づくりが必要であると考えられます。

詳細はこちら