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オホーツク海南部冬期の海氷体積量の年々変動を解明~気候変動に伴うオホーツク海海氷の変動予測への貢献に期待~(低温科学研究所 助教 豊田威信)

2022年12月9日

ポイント

●世界で最も低緯度に位置するオホーツク海南部の海氷体積量の年々変動を捉えることに成功。
●氷盤同士の力学的な乗り重なりが海氷体積量を顕著に増加させる主要因であることを解明。
●気候変動による季節海氷の面積と体積の変化やそれに伴う生態系変化の将来予測の進展に期待。

概要

北海道大学低温科学研究所の豊田威信助教、西岡 純教授、三寺史夫教授、同大学北方生物圏フィールド科学センターの野村大樹准教授らの研究グループは、オホーツク海南部(北緯46度以南)の海氷域の海氷面積・氷厚・海氷体積量の年々変動の特性を解明しました。

オホーツク海南部は、沿岸結氷を除けば世界で最も低緯度に位置する海氷域として知られ、その海氷域の概況は主に防災の観点から、航空機や衛星で以前より観測が行われてきました。しかし、その面積や氷厚の経年変動はこれまで統計的に十分には解析されてきませんでした。特に、氷厚の長期間に渡る体系的な観測がなかったため、海氷体積量の経年変動は全く知られていませんでした。

本研究は現場で得られた氷厚などのデータを衛星データと組み合わせて解析を行い、オホーツク海南部海域の海氷面積は、その北部・中部とは顕著に異なる変動特性を持つこと、海氷体積量の年々変動は大きく熱力学的な結氷条件よりも力学的な氷盤の積み重なりが重要であること、顕著な氷盤の積み重なりは現在多くの気候モデルで用いられている海氷レオロジーの理論でおおよそ説明が可能なことが分かりました。これらの結果は他の季節海氷域の数値モデル化にも適用可能と考えられます。

なお、本研究成果は、2022122日(金)公開のJournal of Geophysical Research: Oceans誌に掲載されました。

論文名:The interannual variability of sea ice area, thickness, and volume in the southern Sea of Okhotsk and its likely factors(オホーツク海南部の海氷面積・氷厚・体積量の年々変動特性およびその要因について)
URL:https://doi.org/10.1029/2022JC019069

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北半球の平年(1991-2020年)の海氷出現率分布(気象庁作成の資料による)