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未確認のアズマモグラの生息地を発見~西日本に新たな飛び地があることが判明~(北海道大学名誉教授 鈴木 仁)

2023年1月31日

ポイント

●西日本にはアズマモグラの生息飛び地がいくつか存在。
●隠岐諸島の島後で新たにアズマモグラの生息を確認。
●モグラの分散様式や人間との関係の解明に期待。

概要

北海道大学の鈴木 仁名誉教授らの研究グループ、並びに元大阪市立大学の原田正史氏、島根自然保護協会の野津 大氏は、島根県隠岐の島町で2匹のアズマモグラの捕獲に成功しました。

アズマモグラは地下性のモグラ科哺乳類で、日本列島にのみ生息する固有種です。青森県を北限に、主に東日本に広く生息していますが、かつては日本全国に生息していたとされています。現在、アズマモグラが西日本に生息していない原因は、今から100万年以上前、日本列島が朝鮮半島と陸続きであった時代に大陸から移入してきた近縁種であるコウベモグラが西日本に生息地を広げ、アズマモグラを東方に追いやったからではないかと推測されています。現在に至るまで両種は競合関係にあり、その生息域の境界は変化し続けています。通常アズマモグラに比べて体の大きなコウベモグラは優位ですが、土壌の質や地形によってはコウベモグラの侵攻を免れた地域もあり、中国地方や四国、紀伊半島などがアズマモグラの生息する飛び地として西日本に残っています。

202111月、島根県隠岐諸島で行われた小型哺乳類の採集調査で体の小さい2匹のモグラが捕獲されました。詳細な観察の結果、2匹はこれまで隠岐諸島に生息が確認されていなかったアズマモグラであると判明しました。本報告はモグラがどのように日本に広まって現在の生息地に収まったかを知るうえで重要な知見となります。また、アズマモグラの生息する未発見の飛び地がまだ存在する可能性も示唆しています。

なお、本研究成果は、日本時間2023131日(火)公開の「哺乳類科学」誌に掲載されました。

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本研究の対象種であるアズマモグラ
(画像:©MITSUHARU YOSHIMI/SEBUN PHOTO/amanaimages)