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効率的なゲノム編集を可能とする脂質ナノ粒子の開発~ゲノム編集治療への貢献に期待~(薬学研究院 助教 佐藤悠介)

2023年2月13日

ポイント

●ゲノム編集治療の実現に欠かせない脂質ナノ粒子の製剤設計方法を確立。
●RNPの脂質ナノ粒子への効率的な搭載と細胞内でのRNPのリリースの両立の重要性を解明。
●CRISPR-LNPの静脈内投与により肝臓遺伝子の80%以上のノックアウトを達成。

概要

北海道大学大学院薬学研究院の佐藤悠介助教、原島秀吉教授、同大学大学院生命科学院修士課程の小沼はるの氏の研究グループは、効率的なゲノム編集を可能とする脂質ナノ粒子(Lipid Nanoparticles: LNPs)の開発に成功しました。

2020年にノーベル化学賞の対象となったCRISPR/Casシステムは、多様な難治性疾患に対する根本的治療戦略として期待されています。しかしながら、その医薬品応用のためにはゲノム編集ツールを標的組織だけに安全かつ効率的に送達する技術が必要不可欠となります。

LNPは薬物の体内動態を制御する技術(Drug delivery system: DDS)の一つです。研究グループはこれまでに、CRISPR/Cas9タンパク質-RNA複合体(ribonucleoprotein: RNP)を一本鎖オリゴDNAssODN)と複合体化させLNPに封入した製剤(CRISPR-LNP)の開発に成功しています。

今回、研究グループは、細胞質内送達後のRNPssODNからのリリースに着目し、最適なssODNの設計方法を確立しました。また、最適化されたCRISPR-LNPの静脈内投与により、肝臓遺伝子の80%以上のノックアウトを達成しました。今回開発された最適ssODNの設計に基づいたCRISPR-LNPのゲノム編集治療への実用化が期待されます。

なお、本研究成果は、2023210日(金)公開のJournal of Controlled Release誌に掲載されました。

論文名:Lipid nanoparticle-based ribonucleoprotein delivery for in vivo genome editing(in vivoゲノム編集を目指した脂質ナノ粒子ベースのRNP送達)
URL:https://doi.org/10.1016/j.jconrel.2023.02.008

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本研究の概要図