2023年6月23日
ポイント
●紫外線を高色純度の緑色光に変換する高輝度発光体の開発。
●高温環境において強く発光する特性を有する高輝度発光体。
●ディスプレイや高感度酸素センサー用の分子性発光素子として応用展開に期待。
概要
北海道大学大学院工学研究院の北川裕一准教授及び長谷川靖哉教授らの研究グループは、紫外線励起により高色純度で高輝度な緑色発光を示す新型レアアース分子の開発に成功しました。
色純度の高い発光を示す蛍光体は、ディスプレイや照明など現代社会において必要不可欠な材料となっています。蛍光色素や無機蛍光体など様々な発光体が開発される中、研究グループは「レアアース分子」と呼ばれる化合物群の研究を行っています。レアアース分子とはレアアースと有機分子から構成される無機・有機ハイブリッド材料であり、"色純度の高い発光色"を示すという特徴があります。
今回開発した新型レアアース分子は、紫外線を効率良く集めることができる芳香族アンテナが導入されており、高色純度で強い緑色発光を示します。さらに、新型レアアース分子は、室温環境だけでなく高温環境下において高輝度発光を示すことも明らかになりました（120℃環境下における発光量子効率>80%）。この特異な発光機能の発現には、光励起寿命の長い芳香族アンテナをレアアース分子内に搭載することが鍵となっています。
開発した新型レアアース分子は、ディスプレイや高感度酸素センサー用の分子性発光素子として応用展開が期待されます。
なお、本研究成果は、2023年6月22日（木）公開のCommunications Chemistry誌に掲載されました。
論文名：Thermally-assisted photosensitized emission in a trivalent terbium complex（三価テルビウム錯体の熱活性な光増感発光）
URL：https://doi.org/10.1038/s42004-023-00922-5
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高温下で強く光る新型レアアース分子（左）と発光の写真（右）
