2023年6月22日
ポイント
●本学国際プロジェクトが数理モデルを用いた放射線治療予後予測に係る新国際規格を提案、開発。
●国際標準化機構(ISO)において、本学国際プロジェクトが提案した新国際規格が正式発行。
●より適切に、より多くの患者さんに高度放射線治療の恩恵が届けられるようになることに期待。
概要
北海道大学大学院医学研究院の白𡈽博樹教授と小橋啓司特任准教授らは、2017年より経済産業省及び一般社団法人日本画像医療システム工業会(JIRA)の支援を受けて、国際標準化機構(ISO)の保健医療情報(Health Informatics)の標準化を扱う技術委員会において、数理モデルで予測した放射線治療予後予測情報のレポートに係る新しい国際規格の策定を提案し、小橋特任准教授がリーダーを務めるプロジェクトにおいて海外のエキスパートと協力して、新国際規格の策定を進めてきました。
この新国際規格は、日本国内のエキスパートを中心として、個々のがん患者さんが所定の放射線治療計画に基づいて治療を受けた場合に予測される腫瘍制御確率(TCP:Tumor Control Probability)や正常組織有害事象発生確率(NTCP:Normal Tissue Complication Probability)などの放射線治療予後予測情報をレポートするためのデータセット及びデータ構造に関する技術報告書としてまとめられ、2023年4月に国際投票で有効投票数の93%の賛成を得ることができました。
当該新国際規格(ISO/TR24290:2023ed.1,Health informatics--Datasets and data structure for clinical and biological evaluation metrics in radiotherapy)が、2023年5月30日にISOの規格として正式発行されたことにより、放射線治療予後予測情報の医療情報側面の取り扱いについてのトレーサビリティ向上が見込まれ、個別の患者さんごとの治療予後予測に基づく放射線治療の個別最適化が進展することが見込まれます。
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