2023年8月7日
ポイント
●水と光のみを用いた銅ドープWO3・H2Oナノ結晶の作製に成功。
●作製したナノ材料の優れた光熱変換特性、太陽光水蒸発、赤外域光電気化学特性の実証に成功。
●今後の高効率全太陽光利用デバイス開発と水と光を用いた持続可能な材料創製技術の進展に期待。
概要
北海道大学大学院工学研究院附属エネルギー・マテリアル融合領域研究センターの渡辺精一教授及び張 麗華准教授らの研究グループは、水と光のみを用いた水中結晶光合成(SPsC)という新たに開発した手法により、銅と酸素の空孔を戦略的に添加ドーピングすることでタングステン酸(WO3・H2O)を用いた光学的臨界相を誘導できることを明らかにしました。
光応答性ナノ粒子を均一に分散させた材料は、太陽電池、光触媒など太陽光を念頭に置いた持続可能なエネルギー利用やフォトニクスの応用に役立っています。しかし、従来の方法では紫外線と可視光までを利用するだけなので、太陽光の約40%以上を占める赤外域の光は未利用で、全太陽光をもれなく利用するためには制約がありました。
これらの光学的臨界相を有するナノ材料は、光波長0.8-2.5マイクロメートルの赤外領域を含む全太陽光波長域での応答を促進するため、これまで前例のなかった優れた光熱変換特性を示し、太陽光水蒸発や光電気化学の高効率特性が現れることが明らかになりました。
本研究で提案するワンポットSPsC材料開発戦略は、近い将来、全太陽エネルギーを利用するための高効率先端酸化物材料の設計と材料デバイス開発に貢献するものと思われます。
なお、本研究成果は、2023年7月29日(土)公開のAdvanced Materials誌にオンライン掲載されました。
論文名:Defect Driven Opto-Critical Phases Tuned for All-Solar Utilization(全太陽光利用のために調節した欠陥導入による臨界相について)
URL:https://doi.org/10.1002/adma.202305494
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