新着情報

ホーム > お知らせ > 本学元総長 丹保憲仁先生のご逝去を悼む

本学元総長 丹保憲仁先生のご逝去を悼む

 丹保憲仁元総長の訃報に接し、北海道大学を代表して謹んで哀悼の意を表します。

 丹保憲仁先生は、平成7年5月に第15代総長に就任され、平成134月までの6年間、本学の管理運営にあたるとともに、本学及び我が国における高等教育及び学術の進展、地域社会の発展並びにアジア・世界の水問題の解決に寄与されました。

 学内にあっては、総長補佐体制の創設及び総長室の設置等全学的な見地からの議論や意見調整を行うための組織運営体制を整備し、学外有識者から意見を聴取して大学改革に反映されました。さらに、本学は、平成12年度に全ての学部が大学院重点化を果たし、創造的な研究を駆動力として人類の「知の体系」に新たな「知」を加えることを大きな任務とする研究主導型総合大学院に移行しましたが、先生は大学院重点化のトップリーダーとして、その重要性・必要性をあらゆる局面で説き、北海道大学の大学院重点化の完成に貢献されました。

 北18条道路のアンダーパス化(エルムトンネル)の実現、北キャンパスにおける研究ビレッジ構想、構内のサクシュコトニ川の復元、大野池の整備、平成ポプラ並木の整備等、自然の回復と整備に主導的な役割を果たされるとともに、全国で初めて国立大学構内に第三セクターである「北海道産学官協働センター」を設置される等、産学官連携を推進されました。 

 研究者としては、平成135月から平成145月まで第89代の土木学会会長に就任され、多くの先駆的な提言を行われるとともに、水環境学・都市水工学における国内外のトップリーダーの一人として国際学会の要職に就かれ、学術研究の世界的発展に努められました。中でも、国際水協会International Water AssociationIWA)の設立に尽力され、平成11年から初代副会長に就任され、平成13年から第2代会長(最初の単独会長)を務め、世界最大の水学会発展の創設期のリーダーとして水の世紀をリードされました。

 学外にあっては、国立大学協会第7常置委員会委員及び委員長、大学基準協会副会長・会長、大学設置・学校法人審議会委員・会長、日本学術会議会員(第1718期)、北海道総合開発委員会会長、北海道科学技術審議会会長、札幌市環境審議会会長等、数々の要職を務められました。

 以上のように、先生が本学及び我が国における高等教育及び学術の進展、地域社会の発展並びにアジア・世界の水問題の解決に果たされたご功績は誠に顕著であり、これに対し平成214月に瑞宝大綬章を受章されました。

 また、本学を退職された後は、放送大学長、北海道開拓記念館(現北海道博物館)館長、道立総合研究機構の初代理事長等を歴任されました。

 先生を失ったことは、誠に残念であり哀惜の念に堪えません。ここに改めて丹保先生の本学へのご貢献に深く感謝いたします。

令和5年8月8日
北海道大学第20代総長 寳金 清博