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ハッカソンイベント「Rapid Prototype Development Challenge」が北海道大学で開催されました

プロトタイプの開発に向けてアイディアソンに取り組む参加者たち
プロトタイプの開発に向けてアイディアソンに取り組む参加者たち

2023年8月1日から3日、ハッカソンイベント「Rapid Prototype Development(RPD)Challenge」が北海道大学にて開催されました。内閣府、タイ地理情報・宇宙技術開発機関(GISTDA)、Multi-GNSS Asiaが主催し、ソニーグループ株式会社、東京大学、慶應義塾大学が後援したものです。RPD Challengeとは、参加者がチームを組み、アイディアだけでなく実践的なアプリケーションやソフトウェアの試作品を短期間に開発し、競うイベントです。タイやネパールの招待チームとともに、北海道大学の学生も参加しました。今回のチャレンジでは、全地球航法衛星システム(GNSS)を農業ソリューションに活用するためのプロトタイプコンセプトを開発することが求められました。

約30名の参加者は、ランダムに3つのグループに分けられ、3日間を通じてメンターのアドバイスを受けながら、アイディア創出、コンセプトとシステムの設計、そしてプロトタイプの開発を行いました。

北大で開催されたハッカソンイベント「Rapid Prototype Development Bootcamp」
北大で開催されたハッカソンイベント「Rapid Prototype Development Bootcamp」

チャレンジの初日は、慶應義塾大学のファシリテーター主導のもと、アイディアソンが行われました。アイディアソンでは、各チームが取り組むべき農業分野の課題を特定し、その課題に対する解決策を徐々に具体化しました。さらに、その解決策を実現するために必要な機器、ソフトウェア、データセットを割り出しました。

また、参加チームは、ソニーが所有するソフトウェアを使用して、農業現場で穀物や植物のさまざまな部位を認識する自動ロボットを訓練する方法を教わりました。

  受賞チーム「Buzzcut」はソリューション・プロトタイプ「プラント・リコメンダー」を開発した
受賞チーム「Buzzcut」はソリューション・プロトタイプ「プラント・リコメンダー」を開発した

その後、各チームはプロトタイプのコンセプトについて議論を重ね、開発を進めました。この間、メンターは、チームが解決したい問題の細部や、プロトタイプの開発中に生じた問題についてアドバイスを提供しました。

受賞チーム「Buzzcut」のメンバー
受賞チーム「Buzzcut」のメンバー

最終日には、各チームによるプレゼンテーションがおこなわれました。チャレンジでは、開発したプロトタイプの技術的な側面だけでなく、ステークホルダーや投資家、社会にとってのメリットといった潜在的な影響力も評価対象となります。各チームは、課題、解決策、さらには見込まれるステークホルダーと成果について、短い時間ながらも詳細なケースを提示しながら発表しました。優勝したのは、「プラント・リコメンダー」と呼ばれるシステムの開発を提案したチーム「Buzzcut」。このチームは、農地の状況をリアルタイムでモニタリングし、機械学習と人工知能を利用して、その状況下で栽培するのに最適な植物品種を提案するシステムを提示しました。評価者によると、明快なプレゼンテーションと、解決策が現実的なものであったことが勝利につながったようです。

このチャレンジでは、3日にわたって4つのデモンストレーションも行われました。初日は、北海道大学の余市果樹園を訪問。北海道大学北方生物圏フィールド科学センターの星野洋一郎教授が参加者を案内し、ブラックベリーとラズベリーの違い、特に葉の形や枝の硬さ、種の大きさの違いに着目するよう説明しました。また、ハスカップなどの他の農産物も見て回りました。

星野 洋一郎教授に余市果樹園(余市町)を案内される参加者
星野洋一郎教授に余市果樹園(余市町)を案内される参加者

続いて、ソニーグループ株式会社の松浦賢太郎さんが、北海道大学内の実験農場で試験中のimk500のフィールドプロタイプを参加者に紹介しました。imk500は、栽培した小麦の状態を包括的かつリアルタイムで把握するためのメタデータを生成するシステムです。

松浦 賢太郎さんが小麦の成長と生産性を追跡するimk500システムについて説明
松浦賢太郎さんが小麦の成長と生産性を追跡するimk500システムについて説明

2日目は、農学部の石井一暢教授とオスピナ・アラルコン・リカルド助教が、スマート農業教育研究センターに隣接する農場で、ロボットトラクターを紹介し、デモンストレーションを行いました。オスピナ助教は、安全検知システムの仕組みについて実演を交えて説明しました。

RPDチャレンジの主催者、関係者、参加者とデモンストレーション後のロボットトラクター
RPDチャレンジの主催者、関係者、参加者とデモンストレーション後のロボットトラクター

最終日には、各チームのプレゼンテーションに続き、東京大学のディネス・マナンダー教授が日本のGNSSシステム「QZSS」と「MADOCA」のデモンストレーションを行い、このシステムがいかに誤差を減らして精度を向上させることに重点を置いているかを説明しました。

(取材協力:国際部国際企画課)
(文責:広報・社会連携本部 広報・コミュニケーション部門)